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2022.09.22 14:30

リアル店舗は復活する? 答えは「イエス」だ

Getty Images

10年以上前に始まった電子商取引(eコマース)の巨大化は、少なくとも現時点ではピークに達したと思われる。

米連邦準備制度理事会によると、電子商取引は2020年半ばには米国全体の小売売上高の16.4%を占めたという。その後1年間で、その割合は14.5%まで縮小した。

(最近、従業員の10%、約1000人を解雇した)電子商取引プラットフォームのShopify(ショッピファイ)によれば、現在ブランドたちは「顧客に提供する小売体験を強化するため」に、実店舗の追加や拡大に再注力しているという。「D2C(消費者直販)ブランドは今、実店舗を競争力として捉えるようになっています」

かつては先行投資の少ないビジネスモデルであった電子商取引は、マーケティング費用を際限なく必要とする場になっている。2013年に約9ドル(約1286円)だった顧客獲得コスト(CAC)の現在の見積もり額は、45ドル(約6431円)にもなっているし、何なら200ドル(約2万8580円)という数字も耳にしたことがある。

さらに悪いことに、マーケティング担当者たちがユーザーを追跡し、ターゲット広告を配信することを可能にしてきたサードパーティークッキーが段階的に廃止されつつある。

Digital Information World』(デジタル・インフォメーション・ワールド)誌によると、グーグルは来年あたりから自社のChrome(クローム)ブラウザからクッキーを排除する計画で、アップルはすでにSafari(サファリ)ブラウザのCookieを制限しているという。EUやカリフォルニア州では、立法者が個人のプライバシー保護を目的とした制限的法律を採択している。

ここで起こっているのは、人間の基本的な性質への回帰のようだ。

Shopify(ショッピファイ)が引用しているが、マイクロソフトのリカルド・ベルマーは「消費者の方々は、パンデミックの間には控えられていた物理的なショッピング体験を求めていますが、それだけではありません。店の通路を歩いたり、店のディスプレイを見たりして、手に取って購入したいものを見つけられるような簡単な体験を、電子商取引が提供できていないからです」という。

電子商取引によって、小売業はかつてよりも簡単になったように思える。だが結局のところ、古き良き時代の常識が支配することになるのだ。いいものを扱えば、お客さんは来てくれるし、何度でも来たいと思ってくれる。当然だと思う。もう1つの常識は、顧客の声に耳を傾けることだ。消費者からのフィードバックやリサーチの重視が、成功する企業とそうでない企業のわかれ目となるのだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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