新型コロナ用経鼻ワクチンが期待ほど状況を好転させるものではない可能性

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中国、インド、イラン、ロシアで4つの新しい経鼻投与のワクチンが仮承認され、世界中で100以上の粘膜ワクチンが開発されていることから、多くの人が経鼻ワクチンが新型コロナウイルスの感染を最終的に止めるツールになることに期待を寄せている。しかし、私は、いくつかの理由から、経鼻ワクチンが長期的な感染防御とすべての亜種からの防御を提供するという熱狂を共有していない。

経鼻ワクチンは鼻、口、肺を覆う薄い粘膜をターゲットにしている。新型コロナウイルスが最初に体内に侵入する場所で免疫反応を促すことで、粘膜ワクチンは現在の筋肉内ワクチンでは不可能な感染と他者への感染を阻止できるというのがその理論だ。粘膜に局在する免疫細胞は、組織常在記憶T細胞およびB細胞と呼ばれ、循環しているT細胞やB細胞とは異なる働きをする。

組織常在記憶B細胞は、分泌型免疫グロブリンA(IgA)と呼ばれる抗体を産生する。それらが気道の層と絡み合うと、病原体をすばやく止めることができるかもしれないが、分泌型IgAが新型コロナウイルスからどの程度防御できるかは不明である。粘膜免疫に関する研究の大半は、腸に並ぶ細胞で行われており、鼻粘膜はまだほとんど解明されていない。

新型コロナの感染は、ほとんどが鼻腔への曝露から始まる。しかし、このような鼻腔内曝露は、再感染からの長期的な防御にはならないし、ましてや新しい変異型の発生からの防御にはならないことがわかっている。もし、鼻腔内の自然暴露で期待する防御効果が得られないのであれば、同じ経路で投与されるワクチンでなぜ防御できるのか? 投与経路を変えても、新型コロナウイルスの進化し続けるウイルス変種が、私たちの免疫システムを回避し抑制することに長けているという問題は解決されない。

インフルエンザの経鼻ワクチンも、これまでのところ成功したとはいえない。FluMist(フルミスト)はその顕著な例の1つだ。2013〜2014年のインフルエンザシーズンにおいて、この点鼻薬は、2歳から8歳の子どもたちのパンデミックウイルスであるH1N1に対して、測定可能な効果を示すことはなかった。その年に流通していたインフルエンザウイルスの主流はこのタイプだったのだ。
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翻訳=上西 雄太

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