米疾病予防管理センターは、2016〜2017年のシーズンに2〜17歳の子どもにおけるフルミストの有効性はわずか3%であり、防御効果は得られないことを明らかにした。フルミストの性能が低い正確な理由は不明だが、ワクチンに使用されている株をインフルエンザシーズンの優勢な株に一致させることは、投与経路にかかわらず、すべてのインフルエンザワクチンにとって依然として課題となっている。
中国とインドは、粘膜ワクチンの試験から限られたデータしか提供していない。CanSino(カンシノ)の吸入ワクチンの第II相試験のデータでは、ブースターとして投与した場合、カンシノの筋肉内ブースター注射よりも血中血清抗体濃度が有意に上昇することが明らかになった。インドのワクチン開発企業Bharat(バラット)は、経鼻ワクチンをインドで販売されている新型コロナ筋肉内注射のCovaxin(コバキシン)と血中抗体価を測定して比較し、成功と判断したが、試験結果は公表しなかった。どちらも、現在新型コロナワクチンのゴールドスタンダードであるmRNA筋肉注射との比較はされていない。
他の粘膜型新型コロナワクチンの有効性については、さらにデータが少ない。イランでは、2021年10月にカラジにあるRazi Vaccine and Serum Research Institute(ラジ・ワクチン・アンド・シーラム・リサーチ・インスティチュート)が製造した、鼻腔スプレーとして投与する新型コロナワクチンが承認された。5000回分以上が国民に届けられている。ロシア保険省もSputnik V(スプートニクV)の鼻腔内スプレー版を承認したとされるが、イラン、ロシア両国ともヒトでの有効性に関するデータは発表していない。
経鼻ワクチンの開発については、常に期待できるが、代替品も用意しなければならない。ここ数カ月、広範な中和作用をもつモノクローナル抗体の作成に目覚しい進展があった。これらのモノクローナル抗体は、既知のすべての新型コロナウイルス亜種と、SARS-1やMERSを含む他の関連コロナウイルスを中和する可能性を持っている。これらの抗体と、治療や曝露前後の予防のために待望されている効果の高い低分子抗ウイルス剤を併用することで、新型コロナ対策が可能になる。長く続く新型コロナの負担が増え続け、マスク着用などの公衆衛生対策に疲弊する中、新型コロナウイルス感染症の治療と予防のための薬剤が切望されている。
(forbes.com 原文)