ビジネス

2022.09.18

食材の多様化と農家との提携を進める自然食品会社シンプルミルズ

Getty Images


革新への第二の道は、可能な場合には、作物の生産者と直接契約することだ。この狙いは、その地域で優勢な商品以外の作物を農家が育てられるようにすることにある。たとえば、ミネソタ州の栽培者が供給するヒマワリの種は、シンプルミルズのクラッカー「Organic Seed Flour Crackers」で使われている。

シンプルミルズが追求する第三の道は、同社にとって特定の食材の「貯蔵庫」になっている地域に投資することだ。同社は、リジェネラティブ農業(再生型農業)の振興という誓約をまっとうするべく、フランスのフェアトレード推進企業「PURプロジェクト」と提携し、ジャワ島のココナッツ栽培者を対象とする3年間のプログラムに出資している。

このプロジェクトの主眼は、農家のエンパワーメントと、農家の教育や農家のキッチンの改良、技術支援、苗木の選別などを通じたエコシステムの強化により、農家がアグロフォレストリー(森林農法)構想を導入できるようにすることにある。

ココナッツシュガーを製品の材料として使っているシンプルミルズは、このプロジェクトを通して、ココナッツ生産者が植える木の多様化や、花からココナッツシュガーを集めるのに適した、背の低い新品種の栽培などを後押ししている。

創業者のスミスは2019年、ミッドウェスト・パーマカルチャー(Midwest Permaculture)の講座を受講し、「リジェネラティブ農業」という概念について学んだ。それをきっかけに、会社全体の使命に「地球の健康」という要素を追加した。

「リジェネラティブ農業」には多くの定義があるが、シンプルミルズが顧客向けの説明で強調しているのは、栽培方法については作物に応じた幅広いものが採用されるものの、一貫して「土壌の健康増進」をめざしているという点だ。

具体的な項目としては、土壌の攪乱を避ける、1年を通じて地面で何かを育てる、収穫後の作物残渣で土壌をつねに覆う、作物の多様性を最大限に高める、可能な場合には草食動物を導入する、などがある。

そうした手法には、農地土壌での炭素隔離(二酸化炭素の大気中への排出を防ぐこと)を促進する効果もある。シンプルミルズは、そうしたポジティブな特徴を、自社ブランドと結びつけたいと考えている。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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