ビジネス

2022.09.15 13:30

ホテルに長期滞在しながら快適に働くスタイルが定着


高級ホテルチェーンであるクラウンプラザが最近発表した白書によると「フレキシブルなリモートワークの拠点として温暖でエキゾチックな海外のホテルやリゾート、または刺激的な都心への旅行が過去2年間でブームとなった。そうした旅行をする人々は、家事をしなくてもよいため旅を仕事と余暇の時間を取り戻す貴重な方法と考えている」のだという。

レジャー志向のホテルはこのような新しい旅行者にアピールするためにサービス内容に工夫を凝らしている。マイアミのキンプトン・サーフコマー・ホテルは最近、オフィス用品とコーヒー飲み放題がセットになった新しいW-F-H(Work From Hotel)商品を立ち上げた。また、プールサイドのカバナを1日中個人のオフィスとして利用できるよう、設備を一新した。エレメントホテルズは住まいのレンタルを提供するために、4つのプライベートな寝室と共有のキッチン、リビングルームをつなげた施設「スタジオコモンズ」を用意している。

ニュージャージー州ケープメイとニューヨーク州サグハーバーで複数の施設を所有・運営する地域を代表するホスピタリティ投資・管理会社ケイプ・リゾーツは、ホテルの部屋やコテージ、スイートを1カ月以上借りて自由に出入りできるオプションを提供している。

マンダリン・オリエンタル・ホテルグループは、米国とカリブ海地域のホテルで、本拠地を他の都市に移してリモートで働くことができる、包括的なエクステンデッド・ステイの商品を提供している。

また、イタリアのベネチア運河沿いやスペインのマヨルカの中心部、あるいはユネスコ世界遺産のクスコ内に一時的なオフィスを構えることも可能だ。このような最近の需要に応えて、高級旅行プランナーのエンバークがベルモンドと提携して「エンバーク・ロングアブロード」を立ち上げた。旅行者はイタリア、スペイン、ペルーのいずれかを1カ月間の滞在先とすることができ、ランドリー使い放題、すべての飲食物20%オフ、滞在期間中の専属コンシェルジュなどの特典を受けることができる。

ホスピタリティ企業も割引や特典でゲストの長期滞在を促している。ハイアットは長期滞在割引、プールカバナの無料提供、ゴルフの無料ラウンドなどを含む新しい「ワーク・フロム・ハイアット」プログラムを用意している。ホテルチェーンのHGは会員が国内ホテルで3泊以上予約すると、より安い料金を提供する。高級住宅レンタル会社のOnefinestayは90泊以上の予約で25%オフといった長期滞在割引を提供している。

さらに、そのまま住み続けるという選択肢もある。ポルトガルの家族経営のホテルブランドMartinhalはすでに長期滞在に適したリゾートで知られている。たとえば、リスボン中心部に立地するMartinhal Chiadoでの長期滞在プログラムは1カ月約1500ドル(約21万円)だ。また、Martinhal Residencesを立ち上げ、リスボンの新しいPark of Nations地区で160戸の高級住宅を販売している。

確かに、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは落ち着いたかもしれないが、ホテルに住むというトレンドがなくなることはなさそうだ。ホテル暮らしのメリットの1つは、必ずしも華やかではないものの、誰もが共感できることだろう。「トイレの調子が悪いんだけど、と電話をかけると、すぐに誰か駆けつけてくれる」とキャシーは笑いながら話した。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

ForbesBrandVoice

人気記事