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2021.09.24 07:00

リモートワーク普及でもオフィス整備、テック各社の狙いとは

Photo by Sean Gallup/Getty Images

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米アルファベット傘下のグーグルは21日、ニューヨーク中心部マンハッタンにあるオフィスビルを21億ドル(約2300億円)で購入すると明らかにした。IT大手の間ではコロナ禍を機にリモートワークが広がる半面、オフィスを新増設する動きも相次いでいる。若い世代の労働者は職場での同僚らとの交流も重視する傾向があり、時勢に逆行するようなオフィス拡大には人材確保への投資という面もありそうだ。

グーグルが取得するのはマンハッタンのハドソンスクエアにある「セント・ジョンズ・ターミナル」。ルース・ポラット最高財務責任者(CFO)はブログへの投稿で、今回の購入は「より柔軟な(在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせた)ハイブリッド型の働き方」に向けて環境を向上させるものだと説明。「従業員たちが直接集まって協力したり、コミュニティーをつくったりする」のをあと押しするものになると述べている。

グーグルはニューヨーク市に従業員1万2000人をかかえる。ポラットは「ニューヨークの活力、創造性、世界クラスの人材こそ当社がここに根を下ろしている理由だ」とも言及し、購入するビルはグーグルのハドソン・キャンパスの中核になるとしている。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が起きると、グーグルやツイッター、フェイスブックなども従業員に当面は在宅勤務をするよう求めた。一方で、ビッグテックの間ではこのところオフィスの新設や購入、貸借の発表も続いている。

アルファベットは本社を置くカリフォルニア州マウンテンビューに、大規模なカンパニータウン(企業城下町)を整備する計画を明らかにしている。約16万平方メートルの区画に住宅や小売店、公園、娯楽施設、会社キャンパスを建設する予定だ。

アマゾンはバージニア州北部で第2本社の建設を進めている。22階建てのオフィスや商業ビルなどから成り、周囲には木立や円形劇場、散歩道、広大な駐輪場、ドッグランなども整備する計画。およそ2万5000人が働けるといい、総工費は25億ドル(約2700億円)とされる。アマゾンはこのほか、米国の6都市でオフィスを貸借し、専門職3万3000人あまりを雇用する計画も発表している。

フェイスブックもニューヨーク市で約20万平方メートルのオフィスを借りたほか、ワシントン州シアトル近郊で約3万7000平方メートルの新築・未使用の美しいキャンパスをアウトドアグッズの販売チェーン「REI」から購入した。

こうした動きは将来を見越した賢明な措置だと言える。若く優秀な人材は、オフィスでの勤務を求めるような企業でしか働きたくないと考えるかもしれないからだ。

Z世代や、ミレニアル世代のなかでも比較的若い人たちにとって、ほかの人と一緒にいることは社会的に大事なことになっている。彼らは同僚たちとの付き合いやメンター役、帰属意識を求めており、たとえいい会社に就職しても、窮屈なアパートメントや実家で毎日、パソコンの前に座って働くことになれば失望を覚えるだけだろう。

企業側はこうした事情がよくわかっている。各社とも、空きビルをかかえるために何十億ドルも費やそうとしているわけではない。パンデミックがおさまれば、従業員は全員オフィスに戻るよう求められることもあり得るかもしれない。

編集=江戸伸禎

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