リビングストンはさらにこう述べている。「自閉症と診断される男性は、女性の4倍にのぼることが知られている。原因のひとつは、情動の男女差にあるのではないかと我々は考えている。一部の女性においては、情動欲求がより大きいことが、自閉症の特徴を覆い隠していると推測される」
自閉症関連の研究はこれまで、主として神経発達様式としての自閉症を引き起こす遺伝的・生物学的要因に注目してきた。残念ながら、自閉症者の行動パターンが男女で異なる理由については、あまり研究が進んでいない。
研究チームは論文のなかで、自閉症者にみられる情動処理の困難としてもっとも一般的なものは失感情症(アレキシサイミア)であり、自閉症者の約50%にみられると指摘した。これに対し、ニューロティピカル(神経学的定型)、すなわち自閉症やADHDといった神経発達様式が見られない、定型的な人々のあいだでは、失感情症を示す人の割合はわずか5%だ。
自閉症者は、高い確率で情動処理に問題を抱えるものの、これまで研究者たちは、他者の目に映る自閉的特徴において、ジェンダーの違いがどのような影響を与えるかに注目してこなかった。
論文共著者であるバース大学のルーシー・ウォルドレン(Lucy Waldren)は、プレスリリースのなかでこう述べている。「適切な診断がなければ、自閉症の人々は、健康で幸福な生活を送るための各種サポートの対象から外れてしまう。だからこそ、自閉症女性が過少診断されている問題は極めて重要だ」
(forbes.com 原文)