米国は今、温室効果ガスを吸収し、気候変動と戦うための自然の兵器である森林を救おうとしている。新たに成立した法律はまた、都市部を涼しく保つためのキャノピーを作り、エネルギーコストを削減し、人の命を救う。しかしこの問題はカリフォルニア州だけでなく、世界中に広がっている。世界的な問題であり、企業の重鎮たちも必要としている。
Microsoft(マイクロソフト)の創業者で『How to Avoid a Climate Disaster(地球の未来のため僕が決断したこと)』の著者であるビル・ゲイツは「人が木を切るのは、人が悪意に満ちているからではなく、木を切って得られる見返りが木を残して得られる見返りより大きい場合にそうする。つまり、森林を維持する国にお金を払ったり、特定の地域を保護するためのルールを導入したり、農村地域にさまざまな経済的機会を与えて生き残るために天然資源を採取する必要がないようにするなど、政治的、経済的な解決策が必要だ」と書いている。
ゲイツがほのめかしている解決策はすでに存在している。REDD+(レッドプラス)は森林を維持する国に報酬を与える取り組みで、自然に基づく救済策だ。パリ協定で2015年にその資金メカニズムが採用された。各国政府は自国の森林を監督・監視する。そして他国や企業に炭素クレジットを売ることで森林を木材や農業に使わなくてすむようにする。
国連は気温の上昇と土地パターンの変化が山火事や大気汚染の増加につながると報告している。気候変動は温暖化と干ばつの長期化を招き、山火事を発生させる。6大陸の50人の学者が、厳しい対策を講じなければ危険な山火事のリスクは今世紀末までに57%増加すると結論づけている。
インフレ抑制法は森林保全と持続可能な林業のために約50億ドル(約7025億円)を拠出する。この法律では都市を涼しくするためのキャノピー(天蓋)に15億ドル(約2110億円)をあてる。これは必要なことだ。デューク大学の研究によると、暑さによる死者は年間1万2000人にのぼる。自然・環境保護団体のオーデュボン協会によると、インフレ抑制法では私有地所有者が所有地を管理し、野生生物の生息地である森林生態系を保護するのに4億5000万ドル(約630億円)が割り当てられる予定だ。