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2022.09.04

米国で突如急浮上した「ライブコマース」企業Whatnotの実力

Getty Images


米国最大のライブコマース


Whatnotは、ライブコマースに特化したスタートアップとしては、全米で最大規模の企業となった。ライブコマースとは、テレビショッピングチャンネル「QVC」を現代風にアレンジしたもので、出品者がネット上の視聴者に生中継で商品を紹介するものだ。ライブコマースは、近年中国で爆発的な人気を博しており、Whatnotをはじめ、ShopShopsやTalkShopLiveなどのスタートアップに加え、アマゾンやフェイスブックなどの大手企業が、米国の消費者向けにテストを行っている。

ラフォンテーヌは、中国でライブコマースが流行っていることを最初は知らなかったという。彼は、Headとシードラウンドを実施しているときに投資家から中国の状況について質問をされたが、その時はただ頷くだけで、帰宅してから調べたという。

Whatnotは、ファンコポップのフィギュアのマーケットプレイスとしてスタートしたが、なかなか軌道に乗らず、資金調達ができなかったために、本社を一時的にアリゾナ州フェニックスに移転した。現在では、スニーカーや時計、ビンテージファッション、希少価値の高いコインなど70以上のカテゴリーでライブコマースを行っている。

「ライブコマースでは、出品者と話をしたり、実際の商品を見ることができるため、実店舗でのショッピングに近いが、より楽しい体験ができる」とラフォンテーヌは話す。

昨年は売上が20倍に


アンドリーセン・ホロウィッツが公表している「マーケットプレイス100」リストによると、Whatnotは2年連続で全米で最も急成長したマーケットプレイスとなり、昨年は売上高が20倍以上に拡大したという。同社は財務内容を開示していないが、手数料として売上の8%を徴収しており、黒字化はまだ達成していないという。

CapitalG のSturdyによると、Whatnotは多くの時間とお金を費やす熱心な売り手・買い手のコミュニティを構築することに成功したという。「データを見ると、同社のプラットフォームで費やされる時間やデイリーアクティブユーザー数は、ソーシャルメディアのエンゲージメントに近いと言える。また、コンバージョン率やリピート購入率といったコマースの指標も非常に強い」とSturdyは言う。

Whatnotは、プラットフォーム上での信頼と安全を確保するため、新規出品者の事前審査において、広範囲に及ぶ質問への回答を求めている。コミック本の書店を経営していたり、その分野で著名なインフルエンサーであるといった経歴は有利に働くという。出品者には、商品の仕入れルートについての情報提供も求められる。ラフォンテーヌによると、現状では申請者の約30%を承認しており、サイト上で商品を販売する前にトレーニングを実施している。出品者は、趣味でやっている人からプロまでおり、中には20〜30人で運営しているグループもあるという。

Whatnotは、イーベイと同様に収集品の販売からスタートしたが、今後はジャンルの拡大を検討しており、まずは電子機器やワイン、ビールなどの酒類を販売する予定だ。同社は、アプリをよりソーシャルにするための機能拡充も行っており、最近ではダイレクトメッセージ機能を導入した。

他社がレイオフを行ったり、新規採用を凍結する中、同社は年内に約100名を採用する計画で、従業員数は300名を超える予定だ。ラフォンテーヌは、ロサンゼルスにある自宅で仕事をすることが多く、机の背後の本棚には、ファンコポップのフィギュアなどのコレクションが飾られている。同社の従業員は今もなお、フルリモートで働いているという。

forbes.com 原文)

編集=上田裕資

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