市場や社会、政治からの一貫した圧力のおかげで、多くの企業が自浄作用を発揮するための手段を講じるようになってきた。それが正しいことだからというだけでなく、ビジネスのためにも良いことだからだ。例えば、世界の消費者の3分の1以上が、持続可能性(サステナビリティ)に対して割増料金を支払う傾向にあることを考えると、このような行動は、より広範なトレンドの一部であるといえ、消費者が購入する製品に政治的・社会的な確約を求めるという、より大きな傾向の一部となっている。
ビジネスリーダーは、環境への取り組みを効果的に外部へ発信することができれば、消費者の心を生涯にわたってつかむことができることを学んだ。しかし、企業が環境への影響を実際に軽減するよりも、持続可能であるというマーケティングに多くの時間を費やしている場合、それは単なる「グリーンウォッシング」となる。そして、それは真逆の結果を招くことになるだろう。
Volkswagen(フォルクスワーゲン)の排ガス検査スキャンダルは、悪質なグリーンウォッシングの最もひどい例の1つかもしれない。しかし、グリーンウォッシングにはさまざまなかたちや規模が存在する。ファストファッションブランドが衣料品のリサイクルプログラムを偽って宣伝しているかたちで現れるかもしれないし、使い捨てプラスチックの会社が自然のままの風景を広告に使っているかたちで現れるかもしれない。ESG報告に関する普遍的な基準がないため、気づかないうちにグリーンウォッシングに加担している企業もあるかもしれない。
自社の持続可能性への取り組みを正しく表現し、グリーンウォッシングの罠を回避するために、以下の3つのヒントを検討してみてほしい。
1. 努力すること
グリーンウォッシングの回避の核心は、より環境に優しい世界経済を実現するために努力することだ。知識は力だ。そのため、最初のステップとしてサプライチェーンとオペレーションについて、パートナーの取り組みやビジネスに影響を与える可能性のある法律や規制を含め、できる限り多くのことを学ぶことだ。
白黒の答えが常にあるわけではない。例えば、部品サプライヤーの排出ガスにどの程度まで責任があるのだろうか? 一概にはいえないが、企業の規模が大きくなればなるほど、サプライチェーンに対応してもらうためのプレッシャーが大きくなることは明らかだ。そこで、サプライチェーンから正確な排出量情報を収集し、排出量の少ないパートナーを検討しよう。
次に目標を設定し、努力の指針となる社内方針を作成する。これには、許容される会計プロトコルとライフサイクル分析の理解と適用を、自社のビジネスの文脈で行うことが必要だ。また戦略のコスト、潜在的な収益、時間枠を理解する必要もある。