30U30

2022.09.02 17:00

世界で3番目にクイックコマースに参入した平塚登馬「僕は小さい成功に興味はない」

平塚登馬(クイックゲット代表取締役CEO)

日本発「世界を変える30歳未満」の30人を選出するプロジェクト「30 UNDER 30 JAPAN」。

リテール&コマース部門で受賞した平塚登馬(26)が手がけるのは、未来からの逆算が生んだクイックコマース事業だ。


平塚登馬が手がける「Quick Get」は、実店舗では販売せずに宅配に特化する、日本初のダークストアとして急成長を遂げている。事業はクイックコマースと呼ばれる、オンラインでの注文から短時間で商品を届ける即時配達だ。

ヨーロッパを中心にフードデリバリーから派生した小売業の仕組みで、Quick Getは2019年、世界で3番目に参入した。

自社で在庫を抱えることで、商品点数は2000点以上、商品ジャンル数はコンビニを上回り、送料は配送距離にかかわらず一律250円。ユーザーはアプリから注文・決済すると、平均して11分の早さで商品を受け取れる。在庫管理や配送、アプリ開発まですべて自社でつくりあげてオペレーションを最適化した。

この半年間で売り上げは3倍に拡大。1配送当たりの黒字化も実現し、東京都港区エリアでは10人に1人が利用するほどの浸透ぶりだ。

「小さい成功に興味はありません。世の中を大きく変えることに人生を懸けていきたい」という野心を胸に、平塚は大学在学時に起業。

最初はAIを活用した献立提案アプリを手がけたが、「未来から逆算したときに、必ず起こるであろうことに対して張るのが僕のやり方。フードデリバリーなどデジタル化が進むなかで、あらゆるものをオンラインで気軽に手に入れられる未来が必ず来ると思いました」とQuick Getにかじを切った。

クイックコマースは歴史が浅く、まだ確かな正解はない状態。

「競合する大手の会社はこれまでの経験に頼り過ぎてしまう一面があるでしょう。一方、若い僕らは、ゼロから何が正解かを追い求めてオペレーションをつくりあげられるのが強み」と平塚は自信を見せる。

「コンビニやスーパーと並ぶような新しい生活スタイルをつくっていきたい」

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ひらつか・とうま◎1996年生まれ。同志社大学在学中の2017年にAI献立提案アプリのレキピオを創業。クイックコマースへの事業転換を経て19年、クイックゲットに社名変更。

文=小谷紘友

この記事は 「Forbes JAPAN No.098 2022年10月号(2022/8/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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