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2022.08.01

テンセント出資の中国フードデリバリー「毎日優鮮」が経営危機

ミスフレッシュ(毎日優鮮/Getty Images)

かつては30億ドル近い評価額で注目された中国の食料品デリバリーのスタートアップ「ミスフレッシュ(毎日優鮮)」は、サプライヤーからの抗議などの様々な課題に直面している。

北京に本社を置くミスフレッシュは、昨年6月のナスダックでのIPOで、評価額28億ドルで2億7300万ドル(約361億円)を調達していた。しかし、同社の株価は1年間で98%以上も急落し、現在はわずか0.14ドルで取引されている。

ミスフレッシュは、オンデマンドの分散型ミニ倉庫(DMW)を住宅地の近くに配置し、食品やその他の生活必需品を競合よりも短い時間で顧客の家に届けている。2021年9月までの9カ月間のミスフレッシュの売上高のうち、DMW事業が占める割合は85%に達していた。

テンセントとタイガー・グローバルが出資するミスフレッシュは、DMW以外の部門の運営を継続するために「あらゆる努力をする」と述べている。

しかし、同社の未来には暗雲が立ち込めている。複数の地元メディアは、怒ったサプライヤーがミスフレッシュ本社の外で支払いの遅延に対する抗議行動を起こしたと報じている。中国のリンクトインと呼ばれるマイマイ(Maimai)では、ミスフレッシュがすでにほとんどの従業員を解雇し、給与の支払いを停止したとする投稿が相次いでいる。

ミスフレッシュは、フォーブスからの再三のコメント要請に応じていない。広州に拠点を置くコンサルタント会社iiMedia GroupのアナリストのZhang Yiは、同社が閉鎖に追い込まれる可能性が高いと述べている。「このような信用危機が広がると、上流のサプライヤーは彼らへの納品を停止するはずだ」

ミスフレッシュにとって、このことは、販売するプロダクトが枯渇することを意味する。第3四半期決算で同社は、3億3700万ドルの手元資金を保有していると発表したが、今後12カ月以内に期限が到来する流動負債の額は5億ドルに達している。

レノボの元幹部Xu Zhengが2014年に設立したミスフレッシュは、パンデミックの追い風を見込んでいたが、コストと損失が予想外に膨らんだことに加え、不正会計疑惑の発覚を受けて、2021年の年次報告書の発表を遅延させていた。同社は4月に、2021年の純損失が2倍以上の5億5800万ドルに上る可能性があると試算していた。

7月に完了した社内調査でミスフレッシュは、サプライヤーと顧客の間にこれまで公表されていなかった関係があったことや、異なる顧客が同じ連絡先を共有していたことなどを発表した。不正行為に関与した従業員はすでに辞職したとされたが、株価の下落を食い止めることはできなかった。

米証券取引委員会(SEC)は6月、ミスフレッシュの株価が30営業日連続で1ドル未満だったことから、同社がもはやナスダックの上場要件を満たしていないと警告していた。同社は、11月末までにコンプライアンスを達成しなければならないが、目論見書で虚偽の財務報告を行ったとされる複数の集団訴訟にも直面している。

編集=上田裕資

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