助成金の用途は、米国内でのファブ建設に限定されている。そのファブではあらゆる種類のチップを製造できるが、主な対象は、ハイエンドな先端チップとそのチップを作る機械だ。現在のところ、米国はチップと製造機械を設計し、その知的財産を維持しつつ、製造は台湾、韓国、日本、そして最近では中国に外注している。
ホログラムフォン
「ホログラムフォン」はまだ実現されていない。だが、いずれはできるだろう。どこで発明されるだろう? 米国なら、どこで作られるだろう?
アップルがスタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者と提携して、作るかどうかを検討することは想像できる。そして、スタンフォード大学やMIT、あるいはアップル自身が、助成金を使って、北京大学の研究者やアップルのパートナーである長江メモリ(YMTC)と提携するかもしれない。現行の半導体法の下では、このような事態を止められない。
CHIPS法は、中国との技術競争に備えた総額約2800億ドルの法律であり、そのなかに、半導体産業への資金援助527億ドルが含まれている。米議会でCHIPS法成立への反対があったのは、主に新技術研究に投入される約2000億ドルという新しい連邦助成金に(資金を国外に流出させないための)安全策がないことに起因する。
「このCHIPS法は、20年間に渡ってアジアに奪われた半導体製造能力を補うために、我々がしなければならないことだ。しかし、これはスタート地点に過ぎない」と、ワシントンのシンクタンク「Coalition for a Prosperous America(繁栄するアメリカ連合)」のチーフエコノミストであるジェフ・フェリー(Jeff Ferry)は言う。