利上げ継続、「ある時点ではペース緩めるのが適切」 FOMC議事要旨

Getty Images / Federal Reserve Chairman Jerome Powell

米連邦準備制度理事会(FRB)が17日に公表した7月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨によると、参加者は物価上昇率が本格的に下がるまで利上げを続けていく方針をあらためて確認した。一方で、ある時点では利上げペースを緩めるのが適切との認識も共有した。

7月26~27日に開かれたFOMCでは、2回連続で0.75%幅の利上げを決めた。

議事要旨によると、会合では物価上昇率は依然として非常に高く、まだ本格的には下がってきていないと言及された。

参加者らはインフレ圧力の低下には需要の鈍化が「重要な役割」を果たすと強調。大半の参加者は、金融政策引き締めの大部分が意味のある影響を及ぼすようになるまでには「しばらく時間がかかる」可能性が高いとの見解を示した。

一方で、一部の参加者はFRBの利上げによって金融状況を必要以上に引き締めてしまうリスクがあるとも認めた。

また、参加者は「金融政策のスタンスがさらに引き締められた以上、経済活動やインフレに対する累積的な政策調整の効果を評価しながら、ある時点で政策金利の引き上げペースを緩めることが適切になりそうだ」との認識でも一致した。

ただ、今後の利上げに関する明確な指針はほとんど示されなかった。

FRBの高官はこれまで、利上げはインフレが抑制されるまで続けると強硬な姿勢を示してきたが、投資家はFRBが利上げをどれくらいのペースで、どれほどの期間続けるつもりなのかに確信がもてないでいる。

CMEグループによると、FRBが9月のFOMCで0.5%幅でなく再び0.75%幅の利上げに踏み切るかどうかについて、トレーダーの間では意見がほぼ二分している。

7月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比伸び率が8.5%と前月の9.1%からやや鈍化したことから、市場関係者のなかにはFRBは来年までに利上げペースを落とすと予想する向きもある。

とはいえ市場では、FRBが大幅な利上げや金融引き締めを緩和するには、単月のデータにとどまらず、インフレの沈静化を示すもっとはっきりとした証拠が必要になるとの見方が大勢だ。

バイタル・ナレッジの創業者アダム・クリサフリは「短期的な相場上昇を支持するには、来年初めまでに激しいインフレが落ち着き、FRBの緩和サイクルが始まることに非常に強気である必要があるが、こうしたシナリオはかなり想像しにくい」と述べている。

編集=江戸伸禎

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