「ニッチ市場」の利点
Forageの株主で、PropelのCEOであるJimmy Chenによると、SNAP受給者の間でのオンラインデリバリーへのニーズは高いという。Propelは、「Providers」という、500万人が利用するSNAPの残高を確認できるアプリを運営している。
「米国では、低所得者は何もせず、時間が有り余っているという偏見を持つ人が多いが、我々はこれまでの活動から、それが誤った認識であることを発見した。実際には、彼らはパートタイムの仕事を掛け持ちしたり、子供の送迎をしたり、ひとり親家庭だったりするため、お金だけでなく時間もないのだ」とChenは言う。
大半の食料品店がSNAPのオンライン決済に対応していないのは、設定が難しいからだ。対応するには、政府がSNAP支給で用いているEBT(Electronic Benefits Transfer)というシステムとの統合が必要だが、2019年までEBTはオンライン決済に対応していなかった。2020年に、決済大手Fiservが初めてEBTのオンライン決済を可能にした。
小売業者がSNAPのオンライン決済を受け入れるためには、政府の承認を得る必要があることも障害だった。農務省は、SNAPの食料品以外への利用を厳しく禁じているため、食料品店は全ての食料品に電子タグを付け、清掃用品やトイレタリーなど、食料品以外の商品をSNAP支払いの対象外にしなければならなかった。
Forageのビジネスモデルはストライプとほぼ同じで、手数料として2.9%と1トランザクション当たり30セントを徴収している。同社がこれまでに処理した金額は1000万ドルに満たないが、米政府はSNAPを毎年1200億ドル給付しており、Lavianは今後数年で数十億ドル規模の取引を処理することを目指している。
ビジネスが軌道にのるにつれ、Forageは様々な課題に直面している。例えば、低所得者は配送料に敏感であったり、小売業者が政府から認可を得るのに予想以上に時間がかかることもある。また、ストライプなどの大手が市場に参入してくる可能性もある。
ラヴィアンは、SNAP決済というニッチ分野に特化することで、これらの課題を乗り越えることができると考えている。「我々のミッションは、政府給付金へのアクセスを民主化することであり、その実現に専念していく」と彼は語った。