経済・社会

2022.08.15 09:00

新型コロナで「再び働くことはない」と50代以上の英国労働者が大量離職


実際、50歳以上の労働者の経済活動の不活性化は、現在、金融危機時のピーク時の約3倍に達しており、経済状況が改善しても、圧倒的な退職願望があるため、収まる気配がないことがデータからうかがえる。

この傾向は、一般的に人々がより長く働いていたパンデミック以前の傾向とは明らかに異なっている。それは、健康状態の改善、公的年金支給年齢の引き上げ、そして経済的自立をより長く維持したいという一般的な願望によってもたらされていたものだった。この早期退職への願望が「人生100年時代」を迎え、より長く働こうとする一般的な動きを根本的に変えるかどうかは、まだわからない。

定着させる


企業が頭脳流出を防ぎたいのであれば、オハイオ州立大学フィッシャービジネスカレッジの研究がヒントを与えてくれるかもしれない。

その分析は、高齢者にとって魅力的な環境とは自律性、情報共有、さまざまな能力開発の機会、意思決定への関与、優れた報酬と福利厚生などであることを明らかにしている。

この結果は、連邦政府内の75万人以上の労働者に話を聞いたもので、このような質の高い職場環境にある人は、退職を遅らせる可能性が最も高いことが明らかになった。

「年齢が上がるにつれて、仕事において自律性や統制性をより強く求めるようになり、尊敬され、話を聞いてもらいたいと思うようになる」と研究者は説明している。「そのような仕事は、学歴が低く、管理職の経験がない人にとって特に魅力的かもしれない。なぜなら、彼らは、高品質の仕事を維持する必要性を他の人よりも感じているかもしれないからだ」

2008年の大不況後、質の高い職場環境が退職を遅らせるのに効果的であったことを示すデータが発表された。研究者らはいわゆる「大辞職時代」に直面し、雇用主が切実に必要とする人材の採用や維持に苦慮している現状において、このような知見は示唆に富んでいると考えている。

「大不況の後、高齢の従業員は、特に質の高い仕事に就いている場合、仕事を続けたいという気持ちが強かった。おそらく、より大きな経済的圧力と退職後の計画を取り巻く不確実性を経験したからだろう」と彼らは説明している。「新型コロナウイルスの流行も、労働者に同じような影響を与えるかもしれない」

調査では、さまざまな人口統計学的情報を収集することに加えて、参加者に職場における研修の機会や自律性など、職場が高品質であることの証拠とみなされるものについて、雇用主を評価するよう求めた。また退職の予定が1年以内か、1〜3年か、3〜5年か、5年以降かについても調査している。

翻訳=上西 雄太

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