中程度の飲酒と認知症、脳にみられる共通点を確認 研究結果

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パーキンソン病やアルツハイマー病をはじめとする一部の神経変性疾患が、脳内の鉄の蓄積に関連していることは、すでに明らかにされている。その鉄の蓄積は、大量のアルコール摂取にも関連していることが分かっている。脳内の鉄の沈着は、認知機能や協調運動機能の低下につながる可能性があるとされている。

一方、これまで明確にされていなかった「中程度」のアルコール摂取と脳内の鉄の蓄積について、英オックスフォード大学とケンブリッジ大学、米エール大学の研究者からなるチームが先ごろ、新たな研究結果をオンラインジャーナル、プロス・メディシンに発表した。

「適度」に関する混乱


生活習慣と健康状態の関連性について考えるとき、アルコール摂取をどう捉えるべきかという問題については、ますます混乱が広がっている。量にかかわらず、飲めば有害とされることも多い一方、例えば赤ワインについては、含有される物質のレスベラトロールが心血管系(循環器)の健康に良いとの報告もある。

だが、その見方を示す根拠は、ひいき目に見ても一貫性に欠けている。赤ワインの摂取量が多い地域の食習慣(地中海食)が低脂肪であることや、社会的交流が盛んであることなど、潜在的に健康に良い地域特有のほかの習慣と、赤ワインそのものの影響を明確に分けて判断することができていない可能性もある。

新たな研究結果


研究チームは、英国の成人の遺伝学的データと健康関連のデータが集積された「英国バイオバンク」に情報を提供している人の中からボランティアの参加者を募り、2万人以上の協力を得た。

参加者たちには1週間あたりのアルコール摂取量を自己申告してもらったほか、磁気共鳴画像法(MRI)による脳と肝臓の画像診断を受けてもらった。集めたデータに基づき、チームは「中程度」のアルコール(エタノール)摂取を週あたり56gとした。

具体的には、「14gのアルコールを含む飲料を週に4杯」飲むことを中程度の飲酒としている。14gのアルコールを含むのは、ビール355ml、ワイン150ml、蒸留酒(ジン、ウォッカ他)44.4ml、など。
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編集=木内涼子

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