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2022.08.05 08:30

英小売大手マークス&スペンサー、青果の賞味期限表示を廃止

Getty Images

英小売大手のマークス&スペンサーは2022年7月、青果パッケージの賞味期限表示を廃止すると発表した。狙いは、食品廃棄物を減らすことだ。

賞味期限の表示廃止は、マークス&スペンサーが「プランA」と名づけたサステナビリティへの取り組みの一環だ。同社はプランAで、2030年までに食品廃棄物を、2017年/2018年と比べて半減させるという目標を立てているほか、食用に適した余剰青果の再分配を2025年までに100%実現させると約束している。

賞味期限の表示廃止は、7月中旬から実施された。その対象は300品目以上で、マークス&スペンサーが取り扱う青果の85%に相当する。

最も廃棄されているリンゴやジャガイモ、ブロッコリーなども対象だ。そうした食品は、適切に扱って保存すれば、表示されていた賞味期限よりもずっと長持ちする。ラベルには、日付に代わってコードが表示され、マークス&スペンサーの店員がそれを目安に、必要に応じて青果を棚から引き下げる。

気候変動に取り組むNGO「WRAP(廃棄物・資源アクションプログラム)」のサステナビリティ部門を率いるキャスリン・デイビッド(Catherine David)は、マークス&スペンサーによる取り組みを好意的に受け止め、こう述べた。「青果物のラベルに賞味期限が表示されなくなれば、買い物かご700万個分に相当する食品が捨てられずに済み、無駄が減る。他のスーパーマーケットに対しても、青果物のラベルに賞味期限を表示しないよう強く求めたい。賞味期限が書かれていなければ、消費者は自ら判断できるようになる」

実際、WRAPが実施した調査によれば、英国の家庭では、年間で推定660万トンもの食品が廃棄されている。

消費者のなかには、表示されている賞味期限に惑わされて、問題なく食べることができる食品を廃棄してしまう人たちがいると考えられている。食べても大丈夫かどうかを自ら判断せず、ラベルに印刷されている日付を頼りにするのだ。

もともと賞味期限を表示していないスーパーマーケットも存在する。たとえば、独チェーンのリドルは、英国産の青果に賞味期限を表示したことがない。それは、食品の「保存期間を延ばす」ためだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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