しかし、このような楽観論を「希望的観測」として退け、中央銀行は当面の間、積極的な利上げを続けざるを得ないと警告するFRBの高官が増えている。
サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁は8月2日のインタビューで、インフレとの戦いが「ほとんど終わっていない」と述べ、利上げの継続を示唆した。一方、クリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁も、中央銀行がインフレがピークに達したという「有力な証拠」を見るまで利上げを続ける必要があると指摘した。
シカゴ連銀のエバンス総裁も2日の会見でFRBが当面の間利上げを続けることに同意し、9月の会合で50ベーシスポイントの引き上げが妥当だと述べたが、「75でもいい」と発言した。
これらの高官の発言は、ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁が31日のCBSで語った、「FRBにはまだ長い道のりがあるが、インフレを引き下げることにコミットすることに変わりはない」という同様のコメントに続くものだ。
1日には、ダドリー前ニューヨーク連銀総裁がブルームバーグの論説で、「金融引き締めは予想よりはるかに長く続く」と警告した。また、FRBのピボット(方向転換)に対する投資家の楽観が「行き過ぎで逆効果だ」と述べた。
FRBは今年に入り4回の利上げを実施し、FF金利(フェデラル・ファンド・レート)は現在2.25%に上昇した。中央銀行は6月に過去28年間で最大の75ベーシスポイントの利上げを実施したが、先週はさらに、75ベーシスポイントの追加利上げを実施した。
パウエル議長率いるFRBは先週、企業活動が「軟化」していることから、引き続きインフレリスクを警戒していることを認めた。CMEグループのデータによると、消費者物価は41年ぶりの高水準の年率9.1%で推移しており、トレーダーは少なくとも50ベーシスポイントの再利上げを織り込んでいる模様だ。
Oandaのアナリストのエドワード・モヤは、「直近のFRB幹部らの発言は、市場が今後の見通しを少し希望観測的に見積もりすぎており、来年の利下げへの要求があまりにも楽観的すぎることを示唆している」と述べた。