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2022.07.30 09:00

救急搬送の3割は現役世代 意外と知られていない、従業員向け「熱中症保険」 


特に、高齢者と現役世代は要注意だ。熱中症による救急搬送の年齢別の内訳を見ると(図表2)、高齢者(満65歳以上)が最も多い2万6942人(56.3%)。次いで、成人(満18歳以上満65歳未満)は1万5959人(33.3%)、少年が(満7歳以上満18歳未満)4610人(9.6%)、乳幼児は(生後 28日以上満7歳未満)359人(0.7%)となっている(総務省「令和3年の熱中症による救急感想状況」)。

さらに、熱中症による死亡者の割合に注目すると、約9割を高齢者が占める。(厚生労働省「人口動態統計(2020年)」)。

熱中症死亡者の割合

歳を取るに従ってさまざまな感覚が鈍くなるものだ。のどが渇いていなくても定期的な水分補給を心掛けたり、暑さを感じていなくてもエアコンで室温調節をすることについて、祖父母や両親など身近な高齢者にしっかり伝えておきたい。

「熱中症保険」の検討も


ところで、熱中症にかかったときの治療費をカバーする保険があることは意外に知られていない。例えば、経営者であれば、従業員が熱中症になったときの補償を保険でまかなうことができる。視野に入れておきたい。

東京海上日動火災、損保ジャパン、三井住友海上、あいおいニッセイ同和などでは、企業向けや団体向けの各種傷害保険に「熱中症危険補償特約」や「熱中症危険担保特約」をセットにすることで熱中症(日射または熱射による身体の障害)を補償できる対応を取っている。

熱中症保険の事例

また、一般人についても、図表3のように熱中症による入院などをカバーできる保険への加入者が今年は特に急増中だ。

大手損保の傷害保険で特約が目立つのは、通常の傷害保険では熱中症が補償対象外になっているためだ。

コロナ禍でのマスク着用による熱中症リスクへのニーズを受け、もともと割安な保険料の傷害保険に、特約の形で熱中症を補償対象にできるプランが用意されている。

なお、アマチュアの団体やグループであれば、その団体等での活動上のリスクカバーの保険を、これを機に検討してみても。気になる人は調べてみると良いだろう。

そういえば、コロナによる入院時にまとまった一時金が受け取れる「コロナ保険」が少し前に流行っていたが、今はすっかり鳴りを潜めている。保険会社にとっても想定以上に支払いが増えたことを受け、売り止めや補償内容の減額に踏み切らざるを得ない状況に陥った会社もある。

新規感染者がこれほど増えるとは誰も予想していなかったと言えばそれまでだが、後味が悪い思いをした人もいるようだ。

熱中症保険も二番煎じになるのではと危惧する人もいるかもしれないが、熱中症に関しては患者数のデータも対策も長年継続して把握されており、保険設計上の不確定要素は少ない。既加入の保険を見直してみて必要性を感じるなら検討も一策だ。

文=竹下さくら 編集=露原直人

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