中国製ロケットの大型ブースターがまたも地球に落下か

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7月24日、中国は長征5号Bロケットの打ち上げに成功し、建設中の天宮宇宙ステーションに設置される実験モジュール「問天」を送り出した。

しかし、実験モジュールを軌道に乗せる大型ブースターロケットは、遠くない将来、「制御不能」な状態で地表に落下することになそうだ

簡単にいうと、23トンの10階建ての高さのロケットが、地球の上空を旋回しながら徐々に地表へと向かって落ちてきている。最終的には地表に衝突し、海洋その他遠隔の安全な場所に着地させるために操作する方法はない。

天文学者のジョナサン・マクダウェルはTwitterで、第一段ロケットが軌道に到達したことを確認した。これはつまり、ロケットに報告されていない設計変更がなされていない限り、今はただ漂流し、地球に落ちる待つばかりであることを意味している。ロケットのエンジンに再点火することは不可能なので、安全な再突入軌道に誘導する方法はない。

マクダウェルはさらに、ロケットは崩壊する可能性が高く、「過去の経験に基づくと、大量の長さ30メートルのデブリ(瓦礫)が時速数百キロメートルで地表に激突するだろう」と付け加えた。

これは中国の宇宙計画ではありふれた慣行になりつつある。2021年5月にも同じタイプのロケットで同様のことが起こっている。そのときの打ち上げロケットは、最終的には海に落下した。中国最大のロケットを2020年に打ち上げたときは、西アフリカにデブリの雨を降らせたが負傷者はなかった。

そしてわずか数カ月前の2022年4月、同じ長征ファミリーの小型ロケットが、制御不能のまま計画外の再突入を果たし、インドの一部にデブリを撒き散らした。

重力の支配下にある制御不能な物体の残骸がどこへ行くかを予測することは極めて困難だ。大ざっぱにいえば、宇宙デブリは赤道の南北41.5度あたりの地表に落ちる。これはロサンゼルス、ニューヨーク、シドニーなどいくつかの巨大都市が安全ではないことを意味している。

それでも、落ちてくる宇宙ゴミで人が怪我をする確率は無視できるほど小さい。わかっている限り、人類が軌道に何かを打ち上げてきた60年の間に起きたことはない。

しかしながら現在、軌道にはかつてないほど大量の物体が存在しており、最近のある研究は10年の間に制御不能な再突入による犠牲者が出る確率は10%であると警告している。

翻訳=高橋信夫

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