最新研究が示す「幸せになりたいなら幸せを追いかけてはいけない」理由

幸せは、追い求める人の下にはなかなか訪れない


2. 第二に、幸福を追求する中では、個人がどの程度、自分の気持ちを(十分に幸福を感じられていなくて)残念なものだと思うかが影響する。一般的には、何かを残念だと思うことは、目標をよりうまく追求するための動機づけになる。たとえば、悪い評価を受けた場合に、それを悔しい・残念だと思うことは、より良いパフォーマンスをするための動機づけになり得る。だが幸福を感じることが目的である場合は、そうではない。幸福を追求する過程で自分の気持ちを残念なものだと思うことは、幸福を感じるという目的にとっては逆効果であって、幸福を達成できる可能性が低くなるのだ。

またザーワスは、失望を招く可能性のある、陥りがちな間違いについても言及している。

1. 1つは、人は何が自分を幸せにしてくれるのかがわからないために、実際には役に立たない戦略をとってしまう間違いだ。たとえば、多くの人は(他人のためではなく)自分のためにお金を使えば幸福度が上がるはずだと信じているが、実証研究によると、自分のためにお金を使う人は、他の人のためにお金を使う人よりも幸福度が低いという逆の結果が示されている

2. さらに、社会的圧力によって、人はより大きな幸福を達成するためにはいつでも幸福を感じていなければならないという考えが奨励されることがあるが、研究によればそれは間違った考えなのだ。(それがポジティブなものであれネガティブなものであれ)自分の感情を受け入れることで、時間とともに幸福感を高めることができる

「全体として、どんな感情であれ受け入れる姿勢で臨むことが、幸福を追求するための有用なツールになるかもしれません」と彼女は説明する。

ザーワスは、この幸福への道に立ちふさがる逆説的状況から抜け出せないでいる人たちのために、役立つ2つの脱出方法を説明している。

1. 1つ目は、幸福をうまく追求するための効果的な戦略を採用することに焦点を当てた脱出方法だ。セラピストやメンタルヘルスの専門家は、それぞれの状況に応じて最も効果的な幸福へのエクササイズを特定する手助けをすることができる

2. 2つ目は、マインドフルネスに焦点を当てた脱出方法で、感情的な目標を設定するプレッシャーを減らし、幸福の追求中に自分の感情の動きを悪く捉える機会を減らすやり方だ

心理学者フェリシア・ザーワスの研究についての詳しいインタビューは「How do we break the happiness hamster wheel?(どうすれば「幸せに向かう堂々巡りから脱出できるのか?)」で読める。

翻訳=酒匂寛

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