フィッシュ・ファミリー財団の理事、フィッシュ・東光・厚子がそう話すのは、2013年、ホワイトハウスでの出来事だ。当時のオバマ大統領が発案した「チャンピオン・オブ・チェンジ賞(Champion of Change for Asia American & Pacific Islanders)」授賞式の光景である。同賞は、地域の社会問題にチャレンジし、社会貢献活動に尽力している市民に贈る賞のひとつだ。同賞受賞者に選ばれたアジア系女性15人はそれぞれ、感極まって涙を流しながら、それぞれの活動についてスピーチをした。フィッシュ自身も同賞の受賞者のひとりとして会場にいた。
フィッシュ氏は、1999年に米ボストンで、夫ラリー・フィッシュとともにフィッシュ・ファミリー財団を設立。目的は移民や困窮する母子家庭への支援。その後、同財団では、2006年以降、JWLI(Japanese Women’s Leadership Initiative)を開始し、日本において非営利団体などで活躍する女性の支援を行ってきた。ボストンで行う4週間のリーダーシップ研修を通して、女性リーダーをさらに行動力のあるリーダーへと育成するプログラムだ。フィッシュ氏は、こうした女性支援活動や、東日本大震災後の復興支援活動が認められ、「チャンピオン・オブ・チェンジ賞」授賞した。
「受賞者のみなさんのスピーチがとても心を打つ内容でした。人に賞を与えることは、こんなにも素晴らしい彼女たちをも勇気づけるのか、と強く思いました。私は、オバマ大統領のように素晴らしい人ではないですが、この賞と同じように、日本で地域社会に根ざし、頑張っている女性たちの活動に光を当てることはできないか──と考えたのです」
それが契機となって、女性のちからで誰もが安心して平等に暮らせる豊かな社会を目指し、勇気を持って行動を起こす「草の根の女性リーダー」を讃える、「チャンピオン・オブ・チェンジ日本大賞(CCJA)」が設立された。それはフィッシュ氏が受賞してから4年の準備期間を経た後の、2017年だった。