宇宙空間で、GoProのカメラが正しく機能するかどうかは未知数だったが、現在36歳のブザスは、とにかくやってみることにしたと話す。宇宙専用のカメラを用意するためには準備期間が短すぎたし、彼が設立したNanoAvionicsという会社のDNAには、そもそも、そのようなリスクをとる覚悟があったからだ。
ブザスはかつて、NASAのエイムズ研究所で、彼とほぼ同い年のリナス・サルガウティス(Linas Sargautis)と一緒に働いたことがあり、その時の経験が会社を立ち上げるきっかけになった。
2013年に2人は、リトアニアのヴィリニュス大学の協力を得て、中古のスマートドアベルから取り出したカメラを搭載した「LituanicaSAT-1」と呼ばれる衛星を製作した。この衛星は、米国のNanoracks によって2014年に国際宇宙ステーション(ISS)から宇宙に放出され、リトアニア初の人工衛星となった。
ブザスとサルガウティスは、その経験から2014年にNanoAvionicsを設立し、2017年に自社開発した初の人工衛星を打ち上げた。そして2018年、テキサス州ミッドランドに本拠を置く衛星インターネット企業AST & Scienceが同社の株式の過半数を購入した。
それ以来、同社の従業員数は156人に増え、英国とテキサス州、イリノイ州に拠点を置いている。NanoAvionicsは、これまでに19基の衛星を打ち上げており、100を超える商業宇宙プロジェクトを実施した。
同社の最新のプロジェクトである、宇宙空間での衛星の自撮りは、一見風変わりなものに聞こえるが、ブザスは大きな意義のある試みだと考えている。
「地球を周回する人工衛星が撮影した写真やビデオが注目を集めれば、人工衛星が提供する価値や教育的な意味合いを、より多くの人々や組織が認識することになる。また、急成長している宇宙産業への就職を希望する学生も増えるかもしれない」とブザスは述べている。