最近ではチャリティー団体だけでなく、多くの大手アパレルブランドも古着回収を実施。
集められた古着は、衣服を必要としている難民のもとに届けられたり、新たな繊維としてリサイクルされている。
一見とても良いことのように思えるが、実はさまざまな問題を引き起こしている側面もある。
今回はそんな古着回収の裏側に迫っていく。
輸出される大量の古着
古着は主に先進国で集められており、2016年にはアメリカから75万トン、ドイツから50万トン、イギリスから35万トン、日本から24万トンもの古着が国外に輸出されている。
海外に輸出する割合は高く、イギリスにおいては集められた古着の実に70%を海外に送っている計算になるのだ。
また、金額的にも大きな市場となっており、2013年の輸出額はアメリカが6億8700万ドル、イギリスが6億1200万ドル、ドイツが5億400万ドルにものぼる。
結局ゴミになることも
先進国での衣類の生産量は需要よりもはるかに多く、消費者が買い替えるスパンも短いため、大量の衣類が余っている。
環境省によると、日本人が1年間に購入する衣服は1人あたり約18枚、手放す服は約12枚で、購入枚数のほうが多いことがわかる。また、1年間で1度も着ない服は25枚もあるそうだ。
回収量が多すぎたり、使えない状態のものが多かったりして、結局ゴミになることも多い。実際、1日あたり国内だけで大型トラック約130台分の衣服を焼却・埋め立てしている。
ニーズを無視した寄付
古着を供給する側の都合を優先した結果、送った地域のニーズに合わないこともある。
冬でも気温の高い国にコートが送られたり、体型の違いから、必要なサイズが揃っていなかったりするのだ。
また、難民に迷彩柄の衣服を送ることで、それを着ている人が軍人に見えてしまったり、紛争を経験した人のトラウマを生んでしまったりなど、さまざまな問題が発生している。
スムーズな物資支援を妨げる
難民キャンプや被災地では人によってニーズが異なるため、衣類以外の必要なものが足りず、衣類が送られてきたところで不要なものとして余るといった状況も生まれている。
そういった状況ではほかの人と物々交換が行う人が増えるため、衣服を必要としている人がどれくらいいるかを確認せずに、古着を大量にコンテナに入れて輸送してしまうとスムーズな物資支援の妨げになる可能性がある。