寄付が迷惑に? 古着回収の知られざる裏側


寄付した古着が「商品」に


寄付された衣類はすべてが無料で必要とする人々に届けられているわけではなく、現地の商人に再販されることもある。

数が多すぎると貰い手が足りずに残ってしまう場合があり、それらは廃棄処分されるか、業者によって買い取られる。

買い取られた古着は仕分けられ、それが海外に輸出されて「商品」として売り出されてしまうのだ。そのような古着はアフリカの国々に送られることが多く、サハラ以南のアフリカでは寄付された衣類の3分の1が新たに販売されている。

地元の繊維産業が衰退


先進国が善意から質の高い古着を安価で提供することにより、結果的にアフリカの繊維産業を衰退させている。

消費者が地元で生産された衣類よりも先進国から輸入された古着を選んでしまうため、現地の衣類製造工場は閉鎖に追いやられ、大量のリストラが発生しているのだ。



実際、ガーナでは1975年から2000年で衣類に関わる雇用の80%が減少し、ザンビアでは1980年代に2万5000人いた労働者が2002年には1万人以下に減少してしまった。

正当な寄付先を選択しよう


古着回収の裏側を解説してきたが、もちろんすべてが悪というわけではなく、本当に困っている人のもとに届けているプロジェクトもたくさん存在する。

回収ボックスに入れた衣服はどうなるのか、気になる方は企業や団体に直接問い合わせるとよいだろう。

大切なのは、自分が寄付をした古着の行く先を把握し、そこでの悪影響の有無について気に掛けること。ゴミになっていたり、現地産業の衰退に加担してしまっていたりする場合も少なからずあることを前提に、正当な寄付先を選択することを特に意識しよう。

【参考文献】
・環境省
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
・GNV
https://globalnewsview.org/archives/10263
・朝日新聞GLOBE+
https://globe.asahi.com/article/11989591


※この記事は、2022年4月にリリースされた「エシカルな暮らし」からの転載です。

文=エシカルな暮らし編集部

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