経済・社会

2022.07.01 07:00

暴落する暗号資産は「それでも」世界を救うことができるのだろうか?


ブロックチェーンはコンピュータのネットワーク上で何千回も再現される巨大なスプレッドシートで、そのスプレッドシートと共通のデータベースを定期的に更新していると考えることができる。

ブロックと呼ばれる台帳の記録は、ハッシュと知られる暗号の指紋を使用して、以前のすべての取引ブロックにリンクまたはつなげられる。各取引はピア・ツー・ピアのコンピュータネットワークによって独立して検証・確認され、タイムスタンプが押された後、分散型台帳に追加される。

一度記録されたデータは変更することができず、暗号化された台帳に参加している人たちだけが共有することができる。

米証券取引院会の前委員長のジェイ・クレイトンは、ブロックチェーンがデジタル通貨を含む金融市場の未来になると予測した。ハイテク界の第一人者であるジョージ・ギルダーは、ブロックチェーンの将来性をこのように要約している。

「ビットコインは結局のところ、新しい金本位制の可能性を表していないかもしれないが、その基礎となる技術は貨幣の役割を解き放つだろう」。ブロックチェーンは、インターネットの未来を象徴しさえするかもしれない。

しかし分散型台帳技術の未来の上には、量子クラウドという雲がかかっている。

本コラムでは2018年に、分散型台帳技術が将来の量子コンピュータの攻撃に対して脆弱であることを指摘した。ハドソン研究所のクォンタムアライアンスイニシアチブによる最新のレポートでは、そうした将来の量子コンピュータ攻撃のコストについて、ある程度の見当をつけている。

我々の計量経済学的な計算では、そのような攻撃は直接的な損失で1兆8000億ドル(約243兆円)、間接的な影響でさらに1兆4000億ドル(約189兆円)の損失に相当することが示されている。これらを総合すると、暗号資産で最も価値あるブロックチェーンの暗号資産を量子コンピュータで解読することに成功した場合、米国経済に3兆3400億ドル(約452兆円)の打撃を与え、今後長期にわたって世界経済全体に負の波及効果をもたらすと考えられる。
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翻訳=溝口慈子

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