同大学のチームが科学誌ネイチャーに発表した論文は、9000以上の研究チームに所属する12万8000人以上のデータを分析した結果をまとめたもの。調査の対象者には、大学の教職員、大学院生、博士課程の研究員、研究スタッフ、学部生が含まれる。
論文によると、研究プロジェクトに関連して取得された特許に女性の氏名が記載される可能性は、男性より60%近く低かった。また、科学論文の著者として明記される可能性は、男性の方が13%高くなっていた。同大学経済学部の博士研究員であり、この論文の共著者であるエンリコ・バークスは、こうした差は「一貫して、明確にみられるもの」だったと述べている。
研究の成果において女性の功績が認められる可能性は、いずれのレベルにおいても男性よりも低くなっていた。特に下位のレベルにおいてより顕著にみられ、例えば論文に「著者」として氏名が記載される女性は、大学院生100人のうち15人だったのに対し、男性は21人だった。
また、科学者らが「影響力が大きい」と考える論文に女性の著者が引用される可能性も低く、同大学のブルース・ワインバーグ教授(経済学)は、「大きな懸念材料だ」としている。
こうした男女差の原因は、あまり明確にされていない。ワインバーグ教授らの論文が指摘するのは、女性は研究者全体の半数近くを占めるにも関わらず、論文などの著者として記載される機会が男性の3分の1程度にとどまっていることだ。
科学者2400人以上を対象に行った別の調査でも、論文の著者は女性より男性の方が多いこと、差別やステレオタイプ化、偏見といった問題に直面していると訴える人は女性の方が多いことが分かっている。
オハイオ大学の研究チームは、こうしたジェンダーギャップについてよりよく理解するため、科学的な功績の評価の方法について、さらに調査を行う必要があると訴えている。
「世紀の発見」も実は女性の功績
科学分野への貢献において、女性研究者が正当に評価されていないことを示す典型的な例として知られるのが、英国の化学者ロザリンド・フランクリンとDNAの二重らせん構造モデルだ。
分子生物学者のフランシス・クリックとジェームズ・ワトソンは、この構造の発見に重要な役割を果たしたX線回折像に関するフランクリンの未発表の研究データを許可なく見た上、それをもとに明らかにした分子構造モデルを発表。ノーベル賞を受賞した。だが、2人は当初、フランクリンの研究との関係を認めなかった。
クリックがフランクリンの研究について、それがDNAの二重らせん構造モデルの発見に極めて重要な貢献を果たしたことを明らかにしたのは、彼女が卵巣がんにより、若くして死去した後のことだ。