ウィンブルドンには、主要テニストーナメントの中で唯一、常設博物館がある。センターコートのチャーチロードへの移転や同会場でのスザンヌ・ランランの初優勝、第2次世界大戦中の爆撃など、歴史的出来事に関する常設展に加え、これまでの100年の変化を追う館内の期間限定の展示では、これまであまり知られていなかったストーリーに焦点が当てられている。
展示では、それぞれ4人のストーリーを中心とした6つのテーマが用意され、ランランが初の決勝戦で着用し衝撃を与えたテニスウエアやテニス界の人種差別、1990年にウィンブルドン決勝戦に進出したジーナ・ガリソンをはじめとする選手が人種差別により受けた影響などが紹介されている。
ツアーにおける女性の権利に関しては、ビリー・ジーン・キングが行った男女対抗戦「バトル・オブ・ザ・セクシズ」で使用された機械仕掛けの点灯する料金箱が展示されているほか、現代の車椅子選手や、第2次世界大戦で負傷したハンス・レドルが同じ腕でボールを投げてサーブできるようにしたルール変更など、障害についてのセクションもある。
人種的偏見に関するセクションでは、アリシア・ギブソンが英エリザベス女王とセンターコートで握手する瞬間が紹介されている。
1877年までさかのぼるウィンブルドンの歴史は、テニスのほぼ全ての側面を網羅するものだ。テニスに関し最も多くのストーリーが語られる場所であるセンターコートの100周年を祝うことは、テニスを祝福することと同じだと言える。