ウィンブルドンのセンターコート 100周年で改築や特別展実施

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ロンドン・ウィンブルドン選手権の競技場としてセンターコートが登場したのは1922年のことだ。

ウィンブルドン選手権を主催するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)はこのほど、センターコートの100周年を記念しさまざまな展示を開催するとともに、センターコートの改築を実施した。

センターコートの改築ではテント式の古い雨よけを取り外し、使われていなかった以前のテレビ局のカメラ設置場所を別目的に作り替えたことで、芝の端からスタジアムの客席まで約1メートルの空間が生まれた。

AELTCの土地ディレクターであるロバート・ディートカーは「センターコートでは通常、側面からの入場が非常に目立ちにくくなっている」と述べ、「(選手らが)入ってきたのに全く気づかないときもある。これはウィンブルドン特有で、メリットもデメリットもあるが、現在はクラブハウスの中心から選手がセンターコートに入ることができる扉が設置された」と続けた。

ロイヤルボックス(貴賓席)の真下の新たな入り口に加え、ロイヤルボックスに隣接する両側には追加の席も設けられている。使用されていないカメラ設置場所には、新たなプレミアム席が47席設けられた。

また、古いテントを除去して現代的な空気注入式の雨よけが設置されたことで、選手はコート上でより広い空間が持てる。線審やボールパーソンは芝と客席の間に追加された約1メートルの空間に立つことになるため、選手には空間的な余裕が与えられ、芝生も消耗しづらい。

ディートカーは、こうしたさまざまな小さな変化が、約1万4900席を有するセンターコートの「大規模な整理」に大きく貢献していると述べている。

しかしディートカーによると、こうした変化により歴史的なつながりが失われることは避けることが望まれていた。そのため中心部の新たな入り口では、デザインチームが詳細なモデリング技術とレーザースキャンを活用し、建築家スタンリー・ピーチが設計した元々のスタジアムの外観が持つ網目模様のコンクリート装飾の正確な跡や欠陥などが全て再現された。

こうした装飾は現在ロイヤルボックスの下部にも施され、新たな入場口部分は会場の他の部分と調和するようになっている。

歴史のハイライトを目的とした微細な変化に焦点が当てられていることから、センターコートの外観には大きな変更はない。新しい審判の椅子にはセンターコート100周年記念のロゴが刻まれるが、センターコート内で100周年の印が現れるのはここだけだ。
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翻訳・編集=出田静

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