「ブランド」になってしまったBTS 活動休止はZ世代に支持される選択か?

Photo by Demetrius Freeman/The Washington Post via Getty Images

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韓国の男性音楽グループ、BTSが14日、当面の間、活動を休止。ソロ活動に専念することを明らかにした。なぜ、人気絶頂のいま、このような発表をしたのか。

電通、外資系広告代理店、ウォルト・ディズニー・ジャパンなどでマーケターとしてのキャリアを重ね、現在は、グロービス経営大学院大学 教授、武井涼子氏に聞いた。


BTS=ミレニアル世代後半からZ世代。この世代は「ブランドを信頼しない」という特徴がある。共感型で口コミを信頼する。つまり、人そのものへの思いで価値を判断するという傾向がある。その結果、インフルエンサーの影響力が強いという形で顕在化する。



それは、需要側だけの話ではない。供給側、つまりはインフルエンサーにもそれなりの個人としての覚悟が求められる。

BTSは、「個人」ではなく、「ブランド」になってしまったと考えると、今回の彼らの発言がよく理解できる。メンバーのVは休止を発表したユーチューブで、「しばらくの間ソロ活動に専念する。その後、再びみんながグループとして集まれば、他に類を見ないシナジーを発揮できる」と語り、ジョングクは、「成長するための時間が必要だということを理解してほしい」とファンに呼びかけた。

BTSが大きくなりすぎてしまったというのは、BTSがブランド化してしまって、一人一人の個人の集合ではなくなってしまったということ。

そういう「ブランド化したもの」は信頼されなくなることを彼らの世代は知っている。

だからこそ、今回個人での活動をするためにこのタイミングで活動の休止を発表したということだろう。



ブランド至上主義であった時代と異なり、長く売れるためには「個人の強さ」が必要な時代。

GAFAが必要だったWeb2.0から個人が大切にされるWeb.3.0へ。ミッションではなくパーパスとナラティブが経営に必要になったということと同じ流れだろう。

文=谷本有香

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