基調講演に相当するキーノートでは、Shoptalkのシニアバイスプレジデントらが、これから小売業者が投資すべき分野として、「サプライチェーン」「決済」「新しいプラットフォーム」「消費者」の4つを挙げた。その内容を要約して紹介しよう。
VCもサプライチェーンに熱視線
まずひとつ目の「サプライチェーン」。一般的にはあまり目立たない分野だが、サプライチェーンやロジスティクス関連のテクノロジーにはベンチャーキャピタル(VC)からの投資が爆発的に増えており、2021年には過去最高を記録したという。このところVC市場は縮小傾向にあるが、この分野には高い関心が寄せられているのだ。
サプライチェーン関連テクノロジーのイノベーションが起きている(カンファレンスのスライドより)
その要因として、燃料費の高騰やロシアによるウクライナ侵攻という問題がある。これらの影響で、サプライチェーンに、万一のときに備えて余裕を持たせる企業が増えているのだ。
例えば、自社で貨物を運ぶ船や列車や飛行機を確保することで、キャパシティーを増やすとか、あるいは実際に自社で海運事業を立ち上げている企業もある。他にも、リスク回避および分散のために、生産拠点を移転したり拠点を増やしたりするケースも多く見られる。
また、サプライチェーンの可視性向上にも意識が向けられている。より正確に製品を追跡して、倫理的に問題のない製品であることを証明するためにサプライチェーンにおいてもブロックチェーン技術の利用が増えている。
これまで目立たなかったサプライチェーンだが、いまやビジネス成功のためには不可欠なものへと変化しているのだ。
企業は本質的なメタバース戦略を
次に、投資すべき分野として挙げられたのが「決済」だ。
決済手段については、近年、多様化しているが、例えばECの決済画面でさまざまな決済業者のロゴが表示されると、消費者はストレスを感じたり混乱したりする。選択肢が多すぎるのも考えものなのだ。いかに消費者にストレスを感じさせずに決済できるか、そのような決済手段が求められている。
一例として、キーノートの発表では、顧客の過去の購買方法などから、理想的な決済手段を表示する手法が紹介された。