Apple Watchの販売数が増えた背景には、低価格な「Apple Watch SE」いわゆるエントリーモデルの普及があると思われるが、世間の意識が「健康管理とワークアウト」に向いたことも大きな要因だろう。昨年は続く自粛による体調の変化を気にする人が増え、“コロナ太り”という言葉も耳にすることも多かった。
質の高い睡眠をするために
登場したばかりのころのApple Watchは、運動や生活を記録できるスポーツをするアクティブな人のためのものという印象が強かった。しかしその後、数年間のアップデートで、さらに健康維持のためにデータを取得するものという印象も強くなっている。
なかでも2020年9月に配信されたwatchOS 7で登場した「睡眠ログ」の影響は大きい。Apple Wacthを装着したまま寝ると、本体内蔵の加速度センサーが身体の動きを感知。寝ていると判断した時間を記録する。睡眠スケジュール機能では、予定した時刻になると、手首をトントンと軽く叩くような振動で起床を促してくれる。私も体験しているが、音で起きるアラームよりも寝覚めはいい。
今週、開催されたアプリ開発者のためのカンファレンス「WWDC22」で、この睡眠計測がより強化されることが発表された。現在、Apple Watchは睡眠時間と呼吸数のみ記録しているが、新たに「睡眠ステージ」が追加され、本体に内蔵された加速度センサーと心拍数センサーからの信号を使って、ユーザーがレム睡眠、コア睡眠、深い睡眠のどの状態にあったかを記録できるようになる。
コロナ禍以前から、日本でも睡眠の質を気にする人が増えてきている。西野精治氏の著書『スタンフォード式 最高の睡眠』がヒットし、「睡眠の質を改善する」というYakult1000が品薄になっていることからも明らかだ。
ユーザーは、リサーチアプリケーションを通じてApple Heart and Movement Studyに睡眠に関するデータを任意で提供しており、アップルはそれらを使って睡眠に関する研究も進めている。
効率的に走れているかを記録するのに役立つデータ
また、今回のWWDC22では従来からのワークアウトの記録に関する発表もあった。それがランニング計測の強化だ。