ゴールドマン・サックスのアナリストは、中国で6月と7月に「力強い経済のリバウンド」が起こると予想している。中国が制限を解除すれば、世界のサプライチェーンの遅れも緩和されると期待される。
中国の上場企業に投資するETFの「クレーンシェアーズCSIチャイナ・インターネット」の最高投資責任者のBrendan Ahernは、現在の中国株のバリュエーションが魅力的な水準にあり、投資家が再び中国へのエクスポージャーを増やす兆候が見られると述べている。
アリババ、JD.com、テンセント、ピンドゥオドゥオ(拼多多)といった中国のEコマース大手の株価はここ1カ月でそれぞれ21%、20%、13%、66%上昇しており、個人消費の回復を受けて、さらに上昇する余地があるとAhernは述べている。
Ahernはさらに、風力発電や太陽光発電、電気自動車(EV)などの分野には、「長期的な成長が見込まれる」と述べ、バッテリーメーカーのCATLや自動車メーカーのBYDなどが注目に値すると指摘した。
しかし、ゴールドマン・サックスのアナリストは、中国経済の長期的な問題は「変わっていない」と最近のノートで指摘した。中国が新型コロナウイルスの脅威から抜け出すのは、まだ先のことになる見通しで、依然として輸出志向の経済を持つ中国は、世界経済の減速からプレッシャーを受けるという。
このアナリストは、中国の不動産セクターが抱えている問題にも注目している。「不動産分野への投資は、都市の人口増加が鈍化し、投機的な活動が減少する中で、数十年に一度の衰退の初期段階にある」という。
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は先日、中国の規制当局が配車サービス大手のディディ(Didi)に対する調査を終了すると報じたが、一部の投資家は、これに続いて中国政府がハイテク部門に対する締め付けを緩和することを期待している。
直近の中国政府の動きは、「最悪の状況は過ぎ去った」ことを示唆しているとも言えるとAhernは述べた。彼は、米国による中国のハイテク企業への圧力のほうが「はるかに心配だ」と指摘し、中国は独自の技術の開発とハイテク分野の多様化を迫られると述べている。
「米国が中国のテクノロジー業界と距離を置けば、中国の企業はそこから大きな利益を得る可能性がある」とAhernは指摘した。