メインの鳩のパイ包みは、シェフが父から受け継いだ伝統的なレシピ。このお皿は、ムセ(Moussé Fils)のラタフィアと一緒に供された。このラタフィアは、ムニエのブドウのみで、1947年から同じ製法で造られ、蒸留酒も自前で造るというこだわりの逸品。ほどよい熟成した果実と凝縮したフレーバーが、メインに寄り添いながら存在感を表していた。
鳩のパイ包み
注目を集め始めているラタフィア
ラタフィアの市場は上昇傾向にあり、この15年間で生産者の数は4倍に増え、現在では約120の生産者により年間約100万ボトルのラタフィアが生産されている。
甘口であるが、シャンパーニュのワイン特有の高い酸とバランスが取れ、甘ったるさは感じない。今回のディナーのように、料理の一皿ずつに合わせて楽しむのも面白いが、ラタフィアでカクテルを作るのも一手。今回のディナーでも、ラタフィアをカンパリで割ったものがアペリティフとして提供されていた。
また、東京・六本木にあるワインバーの経営者は、ラタフィアを同じ生産者のシャンパーニュを半々で割るのがお気に入りだと言う。筆者も試してみたが、シャンパーニュの溌剌とした泡とラタフィアの優しい甘さが口の中に広がり、シャンパーニュ好きとしては次々とおかわりが欲しくなる心地よい飲み口だった。
これを機に、泡だけではないシャンパーニュ産のワインも楽しんでみては。
ラタフィアは、ブドウ品種や醸造・熟成方法などの違いにより、様々なスタイルのものが造られている。今回のディナーでは、その多様性を体感できた
島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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