ビジネス

2022.06.02

トップクラスの人たちにワークライフバランスはあるか?


Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏も、このようなライフスタイルを「ワークライフハーモニー」と表現しています。インタビュー動画では以下のように説明しています。

「実のところ、私は『ワークライフバランス』という言葉さえもあまり好きではありません。誤った解釈につながりかねないと思うのです。私自身は仕事をすることでむしろ元気になれます。価値を提供しているという実感や、チームの一員であるという実感など…、まあ何が自分にエネルギーを与えてくれるかは人それぞれですが。そういう仕事で得た幸福感が、私を家庭でもより良い人間にしてくれるのです。より良い夫や、より良い父親にしてくれます。逆もそうで、家で幸せであるほうが、社員としても上司としても、それ以外の様々な面でも、より良い自分を引き出せます。もちろん、どうにも忙しすぎて、物理的に時間が足りないような時期はあるかもしれません。でも本質はそこではないのです。大抵の場合は、『そのためのエネルギーが残っているか』ということが問題で、つまり『自分の仕事が、自分からエネルギーを奪っているのか、与えてくれているのか』ということに尽きるのです」

言い換えれば、「バランス」より「最適化」を追求するのが「ワークライフブレンド」なのです。トップクラスを目指すなら、人生のあらゆる場面でベストな自分でいられるように、最適な形を模索していく必要があるということです。

トップクラスの人間は才能と努力の両方を備えている


トップクラスを目指す場合、仕事と生活の両方に同程度の時間を割くのは非常に難しいというのが現実です。それはプロアスリートであっても、経営幹部や起業家、投資家であっても変わりません。ある分野のトップを目指すのであれば、それ相応の努力をしなければならないのです。マイケル・ジョーダンやイーロン・マスク、ピーター・ティールやジェフ・ベゾスは、ワークライフバランスを維持したおかげで世界トップクラスになれたわけではありません。彼らは非常に才能があるのはもちろんのこと、時間を惜しまず努力を重ねた結果として今の地位を得ているのです。

一方で、SmartHRの創業者の宮田昇始さんは、同社のチームメンバーは創業以来ほとんど残業をせず、週末もきっちり休んでいたとツイッターで述べています。しかし、同社の初期からの投資家として証言できますが、実際のところ私は宮田さんより努力家の人をあまり知りません。ただ他と違うのは、彼は仕事や生活をブレンドさせることが非常に上手いのです。例えば週末にキャンプに行くにしても、彼は会社の人たちと行きます。私が先日、土日の昼飲みをご一緒させていただいたときも、宮田さんは娘さんと参加されていました。このように2つの世界をブレンドさせることが、トップクラスを目指す中でも継続可能なアプローチなのです。
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文=James Riney

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