上司:3年、5年先はどんなことをしていたい?
私 :もう少しボーダレスに影響力のあるリーダーになっていきたいですね
上司:また海外で働くというのも考えているのかな?
私 :はい、海外でもいいですし、日本でも、どこでも
上司:行きたい国、行きたくない国はある?
私 :柔軟に考えられますが、家族はあるかもしれません
上司:例えば、生活のしやすさとか?
私 :そうですね
上司:それは大事だね、奥さんはどこならいいか、どこなら行けないかなども話しておいて、また教えて
この会話を見てみて、皆さんはどう思っただろうか? 「家族がどこに住みたいか?」と聞かれた時、すごく嬉しい反面、慣れない質問で戸惑った部分もあった。なぜなら、自分のやりたいことをやるために自分のプライベートな部分まで会社に配慮してもらうことを考えていなかったからだ。
会話の中でそのオランダ人上司にも少し聞いみたら、「家族の意向も大事だよね、家族みんながハッピーである必要があるからね。奥さんが嫌な国には行けないよね」と至極当たり前のことを言われたわけだが、昭和を生きた両親や単身赴任の父を見てきた自分には、仕事や異動の希望に“自分の家族の都合”を含めることがよくないという価値観が眠っていたのだと思う。
そういえば、シンガポールでも欧米から単身赴任で来ている人などほとんど見たことがない。必ずパートナーと一緒に引っ越してきていたし、一方の都合で移住してきた夫婦においては、もう一方が現地で仕事を探すのを助けるものだった。
これもまた個の時代におけるリーダーシップのあり方の重要な要素である。つまり個と会社は対等であり、「個の人生や生活に至るまでの希望」と「会社の目指したい方向性とその方法」は常にお互いを確認しあいながら進む必要がある。様々な会社で取り組まれている、目の前の仕事以外の話をする1on1もそのためのものだ。