「個の時代」のリーダーシップ 1on1ではどこまで話すべき?

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ただ、1on1には慣れたとしても、「個と会社は対等」を実践するのにはまだまだ修行が必要だと思ったのが、先の上司との会話である。

私たちの心の奥底には、おそらく「時代にはそぐわないけれど、育ってきた環境によって植え付けられた価値観」みたいなものが眠っているのだ。これがバイアスとなり、個と会社のすり合わせの質は大きく低下してしまう。

では、どうするか。リーダーは、自分のバイアスに意識的に気が付くために、異なる価値観の人と話す必要がある。そして自分の価値観にとらわれず、オープンに真逆の価値観を受け入れる。そうすることにより、一人一人異なるチームメンバーとの会話で、質の高いすり合わせができるようになる。

すりあわせの状態と、質の高いすり合わせをする為のポイント


忘れてはならないのは、個の時代は、今の会社にいることがすべてではないということだ。これは、リーダー自身にも当てはまる。すりあっている部分がなくなれば離れていく。それこそが健全な時代になってきている。すり合わせるのは、共に働く意味を確認するためでもあり、別れる決断するためでもある。それには、仕事やキャリアのみならず、人生や家族の話がある方がベターだ。

ある同僚が、カナダ法人に異動することになった。彼はリーダーとの対話を通して、自分と家族の意向を伝え、会社は2年間かけて彼の意向にあう場所を探し、後任のリーダーを育ててきた。そして無事に異動が叶い、新しいチームが動き出す。それぞれの時間軸の中でこうしたすり合わせが機能すれば、組織の魅力も高まっていくはずだ。

文=西野雄介

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