ヴェネチア・ビエンナーレのNFT事情と「ウクライナ広場」に積まれていたもの

クリエイティブコンサルティング会社 Wakapedia創業者 サラワカ氏(photo by Gabriele Basilico)


美しいゴンドラが浮かぶ運河がシンボルの、イタリアのヴェネチア。観光地として有名ですが、1895年に始まった世界最大のアートの祭典「ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」(以下、ヴェネチア・ビエンナーレ)が開かれる場所でもあります。

建築、音楽、映画、舞踊、演劇など、ヴェネチア・ビエンナーレで展示されるアート部門はさまざまです。万国博覧会のように各国にパビリオンがあり、日本館、イタリア館、イギリス館など、国を代表するアーティストが作品を国ごとに展示しています。

私は今年4月に1週間かけて行われるプレオープニングに行ってきました。美術展は11月まで開催されています。


photo by Ernesto Ruscio & Giorgio Perottino of Getty Images

ヴェネチアのジャルディーニ公園とアルセナーレという市で行われるプレオープニング、街全体がアートで埋め尽くされていました。

ヴェネチア・ビエンナーレの主会場もこのジャルディーニとアルセナーレの2カ所。どちらもすでに展示で満杯なので、後発国は市内の建物を借りて参加します。1日ではまわりきれないほどで、アート好きにとってはたまらない祭典です。コロナショック前は、ANTEPRIMAのデザイナー、荻野いづみさんもよく見かけました。私もここ10年は、毎年参加しています。

過去と比べ、今年は女性アーティストが非常に多かったです。社会の動きを受け、ヴェネチア・ビエンナーレもダイバーシティをより一層気にしているのが伝わってきました。

アート界にとってNFTは「新しすぎるアート」?


ヴェネチア・ビエンナーレは今年で59回目を迎えます。今回のテーマは「The Milk of Dreams」で、キュレーターはイタリア人のチェチリア・アレマーニという女性です。「The Milk of Dreams」は、いろんなものに変化できる魔法の世界が舞台となった物語のタイトルです。

今年のヴェネチア・ビエンナーレでは「身体の表現とその変容」「個人とテクノロジーの関係」「身体と地球のつながり」という3つのテーマに焦点を当てたくて、「The Milk of Dreams」という物語の名前からとったそうです。


(写真提供:サラワカ氏)

さて、アート界がどれくらいNFTに影響されているかです。ここ1年のNFTに対する注目度は、正直、イタリア含むヨーロッパのアート業界も驚くほどです。私自身、今年のビエンナーレがNFTの影響をどのように受けているのか、見るのを楽しみにしていました。
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文=Ryoseon Bae 編集=石井節子

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