日本では、ハーフが格好いい、洒落ている、という視点でテレビや雑誌でも持てはやされるが、アメリカでもインターナショナルな個性は喜ばれる。長くアメリカに住んでいたが、3代目4代目のアメリカ人などは、「ドイツもレバノンもプエルトリコの血もはいっているので、まあ私こそがアメリカ人だ」なんて冗談めいて語っていた。
文化の多様性があるのは今後も人気だし、実務的な話をすると、大人になってパスポートが2つあり、どちらの国でも働けるなどは嬉しい話だ。高校時代にパスポートを2つ持つ生活に憧れて親に国籍を尋ねたら、「残念ね、二人とも日本人よ」と言われたことが懐かしい。
コナン・グレイに話を戻そう。住んでいた地域や学校などの環境にもよるかもしれないが、彼は子供の頃に、アジア人っぽい、ちょっと変わっている……などと言われていじめの対象になり、相当苦労したそうだ。昔の辛い体験は本人のインスタやインタビューでも語られている。日本の芸人やタレントでも似たような話がよくあるので理解しやすい。
コナン・グレイは明るい未来、明るい社会を求めており、彼の繊細な感受性や世界観は、映像のコンテンツだけでなく、色や雰囲気、歌詞の調べや単語にも出てくる。
その歌詞で特徴的なのは、英語でI (私)やyou(あなた)、they(みんな)は登場するが、HeやSheが登場しないことだ。歌詞を読んでいくと、HeやSheに置き換わって良いところでも、それらがでてこない。代わりにTheyが登場する。彼はインタビュー記事でこれについて、「性別を特定しない主義で、意味をもってTheyにしている」と語っている。
全世界的に、ジェンダーの話が取り沙汰されて、日本でも例えば、女子高校生の制服の選択肢にパンツルックが導入されはじめている。随分前から小学生のランドセルも、女の子は赤・男の子は黒だけではなく、多くの色の選択ができるようになった。
色ひとつとっても意味がある分だけ、決められた色以外を選ぶことが、自己形成の助けにもなる。井手上漠さんという“ジェンダーレスモデル”は、感性が豊かでもあり繊細でもあり、爆発的に人気がでてインスタのフォロワーだけで41万人を超える。島根県の小さい島から上京してきたばかりの、美容やファッションが大好きな19歳だ。
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