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2022.04.24 12:30

ED治療薬の常用で、重大な眼疾患リスクが85%増加


網膜や視神経への血流の阻害は、視覚回路の混乱にもつながる。視神経への血流が阻害されるとIONが起こる。RVOは、網膜から血液を運び出す静脈が阻害された結果だ。この2つもまた深刻な眼疾患である。

視界がぼやけたり、段ボール箱をかぶったわけでもないのに視界が真っ暗になったり、光のちらつきや飛蚊症といった原因不明の眼のトラブルを経験したときは、すぐに医師に連絡して治療を受けるべきだ。

シルデナフィルやタダラフィルといったED治療薬が、眼や視神経のさまざまな部分の血流に影響を与える可能性が示唆されたことは、けっして意外なことではない。これらの薬は、ホスホジエステラーゼ酵素のはたらきを阻害することで作用する(ホスホジエステラーゼ酵素は、通常であれば環状グアノシン1リン酸(cGMP)と環状アデノシン1リン酸(cAMP)を分解する)。

ホスホジエステラーゼ酵素のはたらきが阻害されると、細胞内でcGMPとcAMPの分解が抑制され、その濃度が上昇する。その結果として、血管壁の内側にある平滑筋細胞において、平滑筋が弛緩して、血管が拡張・膨張するのだ。

しかし、PDE5阻害剤はペニスだけに作用するわけではない。効果は全身の血管に及び、結果的に視覚に影響を与える可能性がある。

もちろん、この研究結果を受けて、いますぐED治療薬の服用をやめるべきだと言うつもりはない。これはひとつのコホート観察研究であり、因果関係ではなく相関関係を示したにすぎない。

それでもこの研究結果は、ED治療薬をキャンディーのように軽く見てはならないという、さらなる警鐘と見るべきだろう。PDE5阻害剤と重大な眼疾患の関連を示す研究は今回が初めてではなく、以前にも症例報告や別の疫学研究が発表されている。

性生活に問題があるなら、まずは医師に相談しよう。ED治療薬の乱用は、深刻な副作用につながるおそれがある。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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