ビジネス

2022.05.02

米国版「マネーの虎」で注目、EV充電器をデリバリーする企業

Getty Images

EV(電気自動車)の所有者は増えているが、米国の多くの地域では、公共の充電ステーションが足りず、自宅の充電器の充電ペースが遅いことに悩まされているオーナーも多い。そんな中、マサチューセッツ州ソマービルを拠点とするスタートアップの「スパークチャージ(SparkCharge)」は、外出先でオンデマンドの充電を可能にするサービスを提供している。

同社のサービスは現在、サンフランシスコのベイエリアやサンノゼ、ロサンゼルス、ダラスで利用可能だ。

スパークチャージの共同創業者でCEOのジョシュ・アヴィヴは、「EVのオーナーの悩みを解決したい」と述べている。

同社は、ローディー(Roadies)と呼ばれるバッテリーを、ドライバーが充電を希望する場所まで配送する。このサービスは、「Currently」と呼ばれる定額制のアプリから利用可能で、EVのオーナーは、歯医者の予約の待ち時間などに、駐車した地点で利用できる。

利用料金は、車種や利用回数によって異なるが、標準的なプランは月額料金が25ドルで、1回の依頼につき、6ドルから10ドルの配送料が必要だ。現状では、1回の充電でチャージされる電力は、最大50マイルを走行可能にする電力とされ、フル充電の80%までという制限もある。

クリーンエネルギーに特化したニュースサイトClean Technicaの記者は、このサービスが日常的な利用を想定したものではなく、何らかの理由で充電ステーションを利用できない場合のためのものだと述べている。例えば、仕事中に充電が足りなくなることが分かっていて、追加の充電を行った後に、帰宅してフル充電を行うといったケースだ。また、スパークチャージが対応可能なのは、駐車スポットにある車両のみで、路上で立ち往生した場合はロードサービスに対応を依頼するよう勧めている。

しかし、同社のサービスは自宅に十分な充電設備がない人たちや、職場や公共の充電スポットに頼っているEVのオーナーたちには心強い味方となる。バッテリーの残り容量が少ない場合に、その場に駆けつけてくれるサービスは非常にありがたい。

マーク・キューバンも出資


スパークチャージは先日、起亜自動車との提携をアナウンスし、サンフランシスコ、サンノゼ、ロサンゼルスで起亜自動車のEVを購入またはリースした消費者に、月に3回まで充電できる2カ月間の無料プログラムを発表した。同社は、ロードサービス会社やレンタカー会社などにバッテリーの販売も行っている。

スパークチャージのCEOのアヴィヴは、シラキュース大学の学生だった2014年に同社を設立。2020年に米国版「マネーの虎」として知られるテレビ番組の「シャークタンク」で注目を集め、著名投資家のマーク・キューバンなどから累計約2000万ドルを調達している。

スパークチャージは、2024年初頭までに新たに10〜15都市にサービスを拡大する予定という。「当社は最終的に、EVの充電をガソリンの満タンと同じくらい便利で素早くできるようにする」とアヴィヴは述べている。

編集=上田裕資

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