タイヤ業界の大手10社が加入するタイヤ産業プロジェクト(TIP)と世界経済人会議(WBCSD)の調査によると、年間10億本以上のタイヤが世界で廃棄されており、米国はその10%に相当する1億本以上を廃棄しているという。
今回のプロジェクトは、使用済タイヤを合成ゴムに変換し、新しいタイヤの生産に利用するほか、エタノールなどのバイオ燃料を製造することを予定している。
ブリヂストンアメリカスの社長兼CEOのパオロ・フェラーリは、「ランザテックと手を組み、使用済みタイヤのサステナブルな利用に向けた取り組みができることを嬉しく思う」と述べている。
シカゴに拠点を置くランザテックは、廃棄物から炭素を回収し、再利用するプラットフォームを構築している。同社は3月に、特別買収目的会社(SPAC)のAMCI Acquisitionとの合併を通じ、今年後半にIPOを行うと発表していた。
この取引では、AMCIが自社のIPOで調達した1億5000万ドルと、鉄鋼メーカーのアルセロール・ミッタルと化学会社BASFを含む投資家グループから調達した1億2500万ドルを合わせ、合計約2億7500万ドル(約350億円)が調達された。
ランザテックは、カーボンネガティブなエタノールを工業規模で生産できる。また、エタノールを工業化学のプラットフォームとして用い、燃料、繊維、包装材などの再生資源を生み出している。
ランザテックのCEOのJennifer Holmgrenは、「当社とブリヂストンは、世界最大の課題に対する解決策を共同で模索していく」と述べた。
ブリヂストンは今年2月、産業技術総合研究所(産総研)、東北大学、ENEOS、日揮ホールディングスらと共同で、使用済みタイヤを合成ゴムの原料であるイソプレンに変換するケミカルリサイクル技術の開発を開始すると発表していた。