なかなか会えない人たちに貴重な時間をもらってインタビューする。聞かなければいけないと思っていたのは、成功している人たちは何が違うのか、だった。ありがたいことに数多くの成功者に会い、やがて多くの人が同じようなことを語っていることに気づいていった。
例えば、周囲に流されず、冷静に冷徹に自分の頭で考えること。日本共創プラットフォームの冨山和彦さんは、父親が勤めていた名門総合商社が倒産。修羅場のなかで、人のリアリズムを子どもながらに体感した。以来、予定調和的な秩序は信用しなくなった。楽天の三木谷浩史さんは、「大企業を辞めたら地獄に落ちる」といわれるような時代のなかで、自分の判断で前に進んでいった。
何より動いてみることの大切さを語っていた人も少なくなかった。ファーストリテイリング柳井正さんは、失敗をたくさんしていた。ただ致命的にならない限り失敗はしてもいいと思っていた。やってみないとわからないからだ。
日本マクドナルドの日色保さんは、最も怖いのは、わかったつもりになることだと言う。そこにこそ落とし穴がある、と。だから、不要なノイズかもしれない、と思う情報も含めてインプットしていた。
意外なことに、与えられた運命を謙虚に受け入れている人も多かった。華麗なキャリアで、さぞや最初から幸運な仕事に就いていたのかと思いきや、そうでなかった人も少なくない。パナソニック樋口泰行さんのキャリアのスタートは、キツイ、汚い、危険な典型的な3K職場の溶接機事業部だった。しかし、結果的にこの配属がよかったことが後にわかる。
資生堂の魚谷雅彦さんは、好きな英語を生かそうと総合商社に行くはずが、学部指定の時代で就職試験が受けられなかった。その後のキャリアも計画したことなどなかった、行き当たりばったりだった、と語っていた。ただ、選んだ仕事に本気で立ち向かったのだ、と。
きれいごとに思えることを堂々と語られたことも印象深い。SBIの北尾吉孝さんは、生まれたときから人は天命を与えられているのだと語っていた。だから、どんな仕事も一生懸命にやらないといけない、どんな職場にいても努力しないといけないのだ、と。リクルートの出木場久征さんも、社会に影響力のあることを一生懸命にやることこそ、意味があることだと話していた。
「世の中のために」でなければ意味がない、が持論だ。