2022年3月8日に発表されたこの調査「The Exhaustion Gap(燃え尽きのギャップ)」は、米国と英国の社会人1000人超を対象に、オンラインで実施された。クリエイティブ・エージェンシーのバーリン・キャメロン(Berlin Cameron)、米ベストセラー書籍『Fair Play(フェアプレー:邦訳なし)』著者のイヴ・ロドスキー(Eve Rodsky)、データコンサルティング会社カンターが共同で行ったこの調査の結果、「調査日から7日以内に、燃え尽きたと感じたことがある」と回答した女性は、米国で68%という驚くような割合に上った。同じように回答した米国の男性は50%だった。
パンデミックは、女性の燃え尽きを悪化させたようだ。男性よりも女性のほうが、疲労の悪化やモチベーションの低下を口にしている。また、パンデミックが始まって以来、孤独感が増したと答えた女性は、男性の2倍に上った。
バーリン・キャメロンの会長で、今回の調査の提唱者のひとりでもあるジェニファー・ダシルヴァ(Jennifer DaSilva)は、調査のねらいについてこう話す。「女性が燃え尽きた感覚を抱いても問題がないこと、きっとまた意欲を取り戻せるはずだということを訴えたいと思った」
コンサルティング会社マッキンゼーと、女性支援団体Lean In(リーンイン)が共同実施した調査も、パンデミック以来、女性のあいだで燃え尽きが増加していることを裏づけている。「Women In The Workplace 2021(2021年版職場における女性たち)」と題したこの調査リポートによると、女性と男性のあいだに見られる燃え尽き感覚の差は、前年に比べて2倍近くに広がっているようだ。
燃え尽きは、精神的ストレスと人間関係を巡るストレスに長期にわたって悩まされた場合に出る反応だ。燃え尽きたと感じている従業員は一般的に、「どうしようもないほどの疲労感、不信感、仕事に対する無気力さ、無能感、達成感の欠如」が見られると、リポートには書かれている。
燃え尽きと育児
燃え尽きリスクが最も大きいのは、働く母親たちかもしれない。働く女性の健康支援サイト「Maven」が実施した別の分析では、仕事を持つ母親は、仕事を持つ父親より、燃え尽きたと感じる可能性が28%も大きいことがわかった。
パンデミック中は、育児と仕事を両立することの難しさが、以前と比べて大幅に増した。Mavenの分析では、仕事を持つ母親で燃え尽きたと感じているケースは235万人増加したと推定している。その原因は、子どもの学校で対面授業が中止になったときに、母親に過度な負担がかかったことだ。
バーリン・キャメロンの調査では、家事分担を巡る満足度に、明らかな男女差があったことが示された。調査では参加者に対し、自分のストレスの軽減につながることのうち、配偶者やパートナーができる行動を1つ選ぶよう質問した。その結果、女性のあいだで最も多かったのが、「配偶者が家事をもっと手伝う」という選択肢だった。一方、男性で最も多かったのは「特にない。今の状況に満足している」だった。