ポーランド、スロバキア、ハンガリーなどの欧州連合の国々は、難民たちを両手を広げて歓迎し、最大3年間EU全域で生活し働く権利や、亡命を申請しなくても教育や住宅を請求できる権利を提供している。
それに対し、英国の対応には制限が多い。慈善団体Refugee Councilを率いるEnver Solomonは、英国のアプローチが人道的対応ではなく、「管理された移民ルート」のようだと非難している。
英国政府の「ホームズ・フォー・ウクライナ」計画は、英国人に謝礼を支払ってウクライナ人に自宅のスペースを提供することを奨励するものだが、現状の仕組みでは、難民たちがインスタグラムなどで自身を売り込む必要があり、野党議員からの反発を浴びている。また、この計画は難民の安全保護に関して多くの問題を提起している。
欧州以外では、カナダのショーン・フレーザー移民相が、カナダに住もうとするウクライナ人に対し最大2年間、ビザ要件のほとんどを免除し、「無制限に」受け入れると述べた。しかし、手続き上の問題で、政府の支援は遅延しており、アフガン難民の受け入れの約束を果たせていないカナダが、ウクライナ難民の無制限受け入れを実現できるかどうかは疑問視されている。
バイデン政権は、米国がウクライナ難民を支援すると繰り返し述べているが、ウクライナ人に対するビザ要件を免除しておらず、難民たちの選択肢は限られていて負担が大きい。亡命希望者の中には、陸路で米国に渡ろうとメキシコに渡った者もいるが、その多くは、パンデミック対策の規制によりメキシコ経由で米国に入ることを許されていない模様だ。
国連のデータによると、2月24日以降に人口4400万人のウクライナを離れた人々の数は297万人に達している。難民の大半は、近隣諸国に逃れており、その内訳はポーランド(約180万人)、ルーマニア(約45万人)、モルドバ(約34万人)、ハンガリー(約26万人)、スロバキア(約21万人)とされている。
ロシアのウクライナ侵攻は、欧州で第2次世界大戦以降で最悪の難民危機を引き起こしているが、過去の危機とは著しく異なっている。ウクライナ人を両手を広げて受け入れている国の多くは、シリア、イラク、アフガニスタンでの戦争からの難民を受け入れることに断固として反対していた。