「YAMAPの運営側だけで山の魅力やアウトドアの楽しさを発信しても、その力には限界があります。460万人の登山愛好家たちが自分たちの趣味を誇りに思ったり、自信を持てたりするような環境を作り、『かけがえのないアクティビティを楽しんでいるのだ』という自覚を持ってもらうために、コミュニティが必要だったんです」
現在の日本では、登山のイメージとして「高齢者の余暇の楽しみ」や「危険が伴うレジャー」というネガティブな要素が先行してしまうこともある。それが加速すると登山人口は減少してしまうため、春山も課題に感じていた。
起業前には、周囲から「そんなニッチな市場で挑戦するなんて無理だ」と言われたこともあったという春山だが、「ニッチだからこそ熱量が高い。そこに可能性があると私は思っていました。投資家を含め多くの人が、ニッチな趣味やニッチな市場の可能性に、気づけていなかったのだと思います」と振り返る。
「レコメンド」と「共助」をインフラに
春山は、インターネットの強みは「レコメンド」と「共助」だと考えており、その真価はSNSではまだ十分に発揮されていないと感じている。
「ユーザーが登った山の最新状況を活動日記として共有することで、安心・安全な登山の助けになっています。YAMAPが山のインフラサービスとしてより発展していくためには、その人の登山レベルや活動地域に合わせた”山のレコメンドに力を入れています。合わせて、登山者の力を束ねながら、登山道整備や植樹を通した山の再生などにも挑戦しています」