一般的なスタートアップは1年以上をかけて、ベンチャーキャピタルが安心して再投資できるようにレベルアップするものだが、セコイアは最初の出資を公表する前に、すでに2度目の出資に同意していたという。「1月から3月にかけて、会社は大きく変貌しました」とマグワイアは言う。
Gatherは、そのわずかな期間に動画のコードを最適化すると同時に、コカ・コーラやアマゾンなどの顧客を獲得して、月の売上をそれまでの4倍の40万ドルに伸ばした。アマゾンは、大ヒットドラマ「ホイール・オブ・タイム」の世界をGatherの中で再現した。
その後、セコイア・キャピタルはIndex Venturesと共にGatherの2回目の調達ラウンド(5000万ドル)を主導し、YコンビネータやFigmaもそこに参加した。
「シリコンバレーには、“素早く行動して常識を突き破る(Move fast and break things.)”というレトリックがあるが、実際にそこまで早く成長する企業はほとんど無い。チーム作りや企業カルチャーの構築の点で、彼らは我々が5年かけてやったことを、6カ月でやっていた」とフィールドは話す。
ワンは目下のところ、南カリフォルニアの仮住まいから、ピッツバーグ、ボストン、ロンドン、スイスと、ノマド的に旅をしながら、バーチャル空間で仕事をする予定だ。いつか、人々が彼のアプリの中のモールで買い物をしたり、他の国の友人と映画鑑賞をしたりする姿を思い描きながら。
あるいは、Gatherは仮想空間のインフラ企業となって、他のスタートアップを支援するようになるのかもしれない。いずれにしろ、創業22カ月の同社が、急速に進化していくことは間違いない。メタバース革命の先頭に立つスタートアップにとって、フィールドが言う5年という時間は、気が遠くなるほど先のことなのだ。