イケアがロンドン中心にモール開設 コミュニティーに重点置く

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これは、私たちが知っているイケアとは一味違う。

通常のイケア店舗は非常に広大で、バスルームから寝室まで無限に続く逃げ場のない通路や、わくわくするミートボールや商品の展示を抜けると、最後に平たく梱包(こんぽう)された家具の陳列棚がそびえるエリアに入る。

そのイケアが先日、ウエストロンドンの活気ある一角に立つ人気のないショッピングモールに、都会向け施設をオープンさせた。スウェーデン語で「活気ある集まり」を意味する「リバット(Livat)」のコンセプトが欧州で初めて設置されたのはロンドンのハマースミス地区だ。

同様の店舗は今後、近いうちに米カリフォルニア州サンフランシスコとカナダ・トロントの中心街にオープン予定だ。

ハマースミス店はリバットブランドを掲げる欧州初店舗で、イケア・リテールやインカ・インベストメンツ(Ingka Investments)を抱えるインカ・グループの不動産部門、インカ・センターズが開発した。

これは2年前、インカ・センターズが既存のキングズ・モールの買収と再開発のため約2億3000万ドル(約270億円)を投資すると発表したことに続くものだ。同モールは4分の1が空きスペースになっていたが、現代的な北欧風のデザインや訪問客が集う空間となるアトリウムが導入され、新たに生まれ変わった。

イケア・ハマースミス店の特徴は?


同モールには、新たなイケア店舗を主体としてリドルやセインズベリーズ、H&M、プライマークといった一般的なテナントも入っている。その一方で、新たなものも数多く用意されている。

ポップアップ空間を提供するスーク(Sook)やフード販売店に加え、モールには物を貸し出す交流型施設「ライブラリー・オブ・シングズ(Library of Things)」が4月後半にオープン予定だ。コミュニティーの力を活用した同事業を活用すれば、顧客が便利な家庭用品を借りることができる。

イケアのハマースミス店は同社の従来型店舗の約4分の1の規模で、持ち帰りできる商品は約1800点、展示品は約4000点用意されている。全商品は配送を通して購入でき、店内ではプランニングサービスも提供されている。

同店は、街中で買い物をする人のニーズに合わせて設計されている。イケア英国初のキャッシュレス店舗で支払い方法はセルフ清算のみとされ、入り口と出口は3つある。店舗の端に設置された食品販売の新たなスウェディッシュ・デリ(Swedish Deli)は店舗が開店する1時前にオープンする。

インカ・センターズのシンディー・アンデシェン最高経営責任者は、筆者に対し「当社の都会風の交流の場は、より定期的な来店や車を使った移動の減少など現代の都心のライフスタイルを反映させて設計された」と述べた。
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翻訳・編集=出田静

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