今回の取り組みはSKグループがUAM(アーバン・エア・モビリティ)分野に参入する上での大きな一歩となる。SKテレコムのユ・ヨンサンCEOは、「ジョビー社との取り組みで、UAM時代に向けたイノベーションを加速させていく」と述べている。
ジョビー社の5人乗りのエアタクシーの航続距離は最大約240キロで、最高速度は時速約320キロとされる。騒音が少なく、都市部の人口密集地での運航にも適していると両社は共同プレスリリースで述べた。
SKテレコムとジョビー社の取り組みは、韓国政府が今後10年の目標として掲げる戦略と一致している。韓国の国土交通省は昨年、次世代モビリティのUAMの実用化に向けたロードマップを発表し、2025年の都市部での商用運航のスタートを目指すと宣言した。
SKテレコムの傘下には、ナビゲーションプラットフォームのTマップや、ウーバーと共同で立ち上げた配車サービスのUT(ウティ)などがあり、エアタクシーはこれらのプラットフォームとも連携する。
また、SKテレコムの親会社の韓国の大手財閥のSKグループは、バイオテクノロジーや暗号通貨、EV(電気自動車)向けバッテリーまで多様な分野に投資を行っており、昨年はテクノロジー分野に特化した投資会社の「SKスクエア」を発足させていた。
「チームコリア」で実現目指す
一方で、韓国政府はUAMの商用化に向けた政策共同体である「UAMチームコリア」を立ち上げ、複数の企業をそこに取り込もうとしている。ロッテは昨年、シカゴのジャイロプレーンメーカーのSkyworks Aeronauticsと契約を結び、カカオモビリティもドイツのUAM企業のVolocopter社と協力してエアタクシーサービスを立ち上げると宣言した。
さらに、現代自動車もUAMに特化した会社のスーパーナル(Supernal)を設立し、2028年までにエアタクシーを実用化しようとしている。
世界的にもUAM市場は成長が期待されている。モルガン・スタンレーは空飛ぶクルマの市場規模が、2040年には1兆ドルを上回り、2050年には9兆ドルを超えると予想している。
ジョビー社は、米国で10年以上をかけて1000回以上のテスト飛行を完了させており、2023年にFAA(連邦航空局)からエアタクシーの認証を獲得することを目指している。
同社の創業者でCEOのジョーベン・ビバート(JoeBen Bevirt)は、2020年11月のフォーブスの取材に、エアタクシーの実用化が、道路を公園に変えるような根本的な変化を都市や人々の暮らしに与えると述べていた。